「破壊王2世」が、偉大な父の背中を追う決意を固めた。ゼロワンは19日、都内で故橋本真也さん(享年40)のデビュー25周年興行(9月21日、東京・後楽園ホール)の開催を発表。会見に出席した長男大地くん(17)は終了後に「高校を卒業してからプロレスラーとしてデビューしたい」と明言した。7月に父のビデオを見て決心した。父のデビュー25周年興行で、リング上から観客にあいさつを行う予定。

 25周年興行発表の日、天国の橋本さんが喜ぶ報告がもう1つあった。会見に同席した高校2年の大地くんが「まだ父親が愛されて応援されている。自分もそういうレスラーになりたい」と発言。終了後に「高校卒業後、ちゃんと練習してからデビューしたい」と、「破壊王」継承を明言した。

 決意に至るまで、親子鷹ならではの苦悩と戦ってきた。父の死の直後こそプロレスラーになると口にしたが、成長するにつれて偉大さを痛感し、重圧を感じ始めた。「父はレジェンド(伝説)みたいなもの。それに恥じない試合ができなかったらどうしよう、とか考えた。『跡を継いでプロレスラーになる』って死んだときに言ったけど『言わなきゃよかった』って何回も思った」。

 07年のハッスルでの追悼興行では「中学を卒業したら、何年かかってもプロレスラーになります」と宣言した。だが周囲の勧めで高校に進学。昨年から都合がつけばゼロワンの巡業に参加し、少しずつ練習を始めた。ファンに「いつデビューするの?」「応援してます」と声をかけられた。想像以上だった周囲の期待の大きさに、再び悩んだ。

 そんな迷いを吹き飛ばしてくれたのは父だった。7月に父が出場したゼロワン旗揚げ戦などのビデオを見直した。大歓声を背に戦う父を見て、腹は決まった。「ビデオを見て『やっぱりやろう』って。あきらめたらだめなんじゃないかって。プロレスって期待を裏切らないものだと思う。自分も期待に応えたい」。

 身長180センチ、体重70キロと肉体はまだ成長過程にある。ゼロワン大谷晋二郎社長(37)は「体をしっかりつくってデビューさせる。特別扱いをしたら橋本さんに怒られます」と早期デビューは否定した。25周年興行ではリング上であいさつする予定。「父の蹴りはすごかった。デビューした時にあそこまでの蹴りが出せるかプレッシャーですよ」とはにかむ大地くんが、破壊王の遺志を引き継ぐ。【浜本卓也】