WBC世界フェザー級と、同スーパーフェザー級のダブル世界戦が今日26日、ゴングを迎える。同フェザー級王座に挑む前WBCバンタム級王者・長谷川穂積(29=真正)は25日、名古屋市内で前日計量を一発でパス。試合当日はリングサイドに母の故裕美子さん(享年55)の席が設けられる。
前日計量はリミットまで100グラム残し、57キロで一発パスした。あとは本番に臨むだけだ。長谷川は力強く、必勝の思いを語った。
長谷川
ブルゴス選手も本当に勝ちたいと思ってるでしょう。でも、僕は今回のこの試合にかけては勝ちたい気持ちは誰にも負けない。
あえて「おかんのため」とは言わなかった。バンタム級王座陥落から復活を期す自分のプライドのため、支えてくれた家族、スタッフのため…。そして、天国の母のために戦う気持ちは隠しようがなかった。
リングサイドには、これまで同様に“おかんの席”が用意される。母裕美子さんは10月24日に他界したが、父大二郎さん(55)は、主催者サイドに裕美子さんの分までチケットを頼んだ。場所は放送席の後ろ側。小さな遺影が、息子の戦いを見守ることになる。
仕上がりについては「ベストコンディション。バンタムのときより、体も軽いです」と断言した。減量に苦しみ抜いたバンタム級のときと違う。前日24日も調印式前にうどん約200グラムを平らげる余裕があった。「減量はやっぱりしんどい。でも、しんどさが違う。しんどいけど、動けるんです」と話していた。リミット差3・6キロのおかげで、減量のための練習ではなく、強くなるための練習を積めた。
バンタム級から、スーパーバンタム級を飛び越してフェザー級での戦い。日本人初の“飛び級2階級制覇”の偉業と周囲は騒ぐ。しかし、そんなものはどうでもいい。
長谷川
偉業?
何とも思いません。勝つことだけ。それしかないです。
これまで通り、リング上でおかんの視線を感じて戦う。絶対に負けられない。【加藤裕一】