<新日本:東京ドーム大会>◇4日◇4万2000人

 思いのすべてを込めた。天山広吉(39)は飯塚に得意技アナコンダバイスを変形させた、アナコンダクロス(変形顔面絞め)を決めて失神させた。11分13秒、終了ゴングにも「もう離さへん」と絡ませた腕をほどかない。「ドームに出てくる資格がないごみ以下。もうこれで終わり」と、奇襲攻撃を受け続けてきた飯塚高史(44)との完全決着を宣言した。

 東京ドームのリングは4年ぶり。その間、試練の連続だった。09年8月、古傷の首に加え右肩も負傷。首は脊椎(せきつい)後縦靱帯(じんたい)骨化症という原因不明の難病で右肩と合わせ2度手術。自ら「暗闇」と表したリハビリを乗り越えつつあった昨年8月、団体顧問で恩師の山本小鉄さんが68歳で死去。深い悲しみも乗り越え、昨年11月、462日ぶりに復帰した。

 完治はしていない。だがもう迷いはない。「目指すのは王者。40歳になるけどまだこれからですよ」。地獄を見た男は大舞台で完全復活へののろしを上げた。