<プロボクシング:WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦>◇5日◇大阪府立体育会館◇観衆6130人

 前WBA世界スーパーフライ級王者でWBC同級7位の名城信男(29=六島)が、2度目の世界王座返り咲きに失敗した。長身サウスポーの王者トマス・ロハス(30=メキシコ)の技巧を崩せず、強打が空転。最大5点差の0-3の判定負けを喫した。先月12日に誕生した第1子の長女に、3本目のベルトを見せる目標はかなわなかった。採点結果に不満の陣営はWBCに提訴する考えを示した。ロハスは初防衛に成功。名城の戦績は14勝(9KO)3敗1分け。

 名城の気合が空回りした。身長で8センチ、リーチで12センチ上回るロハスの技術を崩せなかった。「パンチも強くなかったし、怖さはなかった。ただディフェンスがうまかった」。飛び込んでも、クリンチなどで逃げられた。8回には偶然のバッティングで減点1。この回終了時の公開採点で劣勢を聞き、圧力を強めたが、逆転できなかった。0-3の判定負けに「相手は後半に明らかに逃げ腰だったし、ポイントはもっと競っていると思った。自分のボクシングが評価してもらえなかった。残念です」ともらした。

 約1週間前には04年8月のプロ5戦目の映像を見た。当時WBC世界5位の技巧派サウスポー本田秀伸を手数で圧倒。飛躍の転機となった試合を振り返り、ロハスの攻略法を練った。結論は「技術を手数でつぶす」だった。手数は多かったが、大振りが目立った。藤原俊志トレーナーは「気負っていた」と振り返った。

 今年10月で30歳になる。「これが最後と思ってやる」と意気込んでいた。先月12日には長女の柚希(ゆずき)ちゃんが誕生。燃える要素はたくさんあったが、結果につながらなかった。所属ジムの枝川孝会長は採点に不満げ。「WBCに提訴を考えている。相手は引いてばかり」。名城は進退について言葉を濁したが「もっとジャブを出さないと」と課題も口にした。このままでは、終われない。【大池和幸】