WBA世界スーパーバンタム級王者の下田昭文(26=帝拳)が、今年6月にボクシングの本場・米国で初防衛戦を行うことが確実となった。7日、所属する帝拳ジムの本田明彦会長(63)が明かした。WBAからの指名挑戦者となる同級1位リコ・ラモス(23=米国)と米カリフォルニア州でV1戦に臨むことが濃厚。日本人世界王者が米国本土で防衛戦を行うのは史上初となる。

 今年1月31日に李冽理(横浜光)を判定で下して王座奪取後、初めてジムワークを開始した7日、新王者に朗報が届いた。本田会長からの報告を受けた下田は「驚いたけど、すぐにいいなと思った」と目を輝かせた。2年前までは海外嫌いを公言していたが「米国で防衛戦なんて普通はできない。運命を感じる。怖い方が集中できる。壁がある方がいい」と歓迎した。

 指名挑戦者ラモスは19勝(10KO)の無敗を誇る。試合ビデオをチェックしたことのある下田も「スピードある選手でしたね」と警戒する。敵地での防衛戦は不利な条件となるが、本田会長は「下田に刺激を与えたかった。まだ伸び盛り。タイプ的に米国でも喜ばれる。向こうで名前を売らないといけない」とリスクを承知で送り出す姿勢だ。

 まだ元同級王者プーンサワット(タイ)とのV1戦の可能性も残されているが、WBAの指名が重視される見通し。来週中にも正式決定する予定で、下田は「世界に誇れるボクサーになりたい」と待ち望んでいた。【藤中栄二】