WBC世界スーパーフェザー級王者粟生隆寛(27=帝拳)が世界戦初メーンで「独り立ち」を強烈にアピールする。11月6日、東京・代々木第2体育館で無敗挑戦者の同級9位デビス・ボスキエロ(30=イタリア)と2度目の防衛戦を行うことが22日、発表された。過去5回あった自らの世界戦のうち、単独のタイトル戦でメーンを務めるのは初めてとなる。

 粟生が意気に感じた。自身初となる単独での世界戦、しかもメーンという大役を任され「喜びです。スカッと勝って良い試合をみせ、気持ちよくお客さんに帰ってもらえるような試合をしたい」と表情を引き締めた。昨年11月にタイベルト(ドイツ)から世界王座を奪取し、約1年後に迎えたV2戦を、自他ともに認める世界王者になるための絶好の機会ととらえた。

 会場は代々木第2体育館で興行開始も午後1時を予定している。今まで元世界2階級制覇王者長谷川穂積(30=真正)らと同日世界戦に臨んだ時とは会場の大きさも、試合開始の時間帯も違う。ステップアップのためには粟生が注目される王者になることが重要だと分かっている。「本当はもっと大きな会場で頑張らないと。次はトリプル世界戦のメーンを張れる選手になりたい」と強調した。

 ともに世界戦を重ねてきた長谷川も刺激するファイトを意識する。今月1日に現役続行を正式表明した兄貴と慕う長谷川に向け「ボクシングを楽しみたいと話しているそうですが、長谷川さんの心に火を付けるような試合をしたい」と、再起を後押しするような戦いをみせる意欲を示した。今月28日から千葉・成田市内で下半身強化の合宿を消化し、9月から本格的なスパーリングに入る。「独り立ち」を証明する強い世界王者を目指し、粟生が覚悟の準備に入る。【藤中栄二】