WBA世界バンタム級王者亀田興毅(24=亀田)がメンチ切りと張り手で無敗挑戦者に宣戦布告した。31日、東京・日本武道館に控えたWBA世界スーパーフライ級とのダブル世界戦に向けた調印式は29日、東京ドームホテルで行われ、2度目の防衛戦の相手となる同級7位ダビド・デラモラ(23=メキシコ)と初対面。写真撮影で目を合わせると眼光鋭く接近し、目をそらした挑戦者の肩を左手で押して挑発するパフォーマンスで対戦ムードを盛り上げた。また、V2戦に東日本大震災の被災者約60人を招待することも決まった。

 数秒間で緊張ムードをつくった。調印式後の写真撮影で、興毅がデラモラと目を合わせながら急接近。苦笑いで目をそらした挑戦者の態度に怒るように体を近づけ、メンチ切りを続けた。対決姿勢を感じない敵の肩を張り手で押した。

 興毅

 立ち合いでかましてやったな、バチーンや。ビビっとったな。会うた時点で戦争は始まらんとあかん。戦いとはそういうもん。友達やないんやし、試合後はともかく、31日はリングの上で戦うんやからな。

 デラモラは自身初の世界戦とは思えないほど、表情から余裕がうかがえた。明らかに王者と挑戦者の間に戦う緊張感が足りなかった。「気持ちを出す。そういう心を出して、ちょっとでも被災地に届けられたらいいなと思う」。戦いの熱こそが会場の観客やテレビ視聴者を熱くすることを意識し、興毅はあえて強烈なパフォーマンスに出た。

 「広げよう復興の輪」と題したV2戦らしく、日本武道館に宮城県、岩手県からの被災者約60人を招待することも決まった。「最高の試合して、見ている人に最高の1日やった、と思ってもらいたい。前回以上にうれしいKOで勝つよ」。今年5月のV1戦に続く、2戦連続KO勝利を予告していた。【藤中栄二】