プロ野球の横浜、オリックスで活躍した総合格闘家の古木克明(30)が、格闘家を引退して球界復帰を目指すことが9日、分かった。古木は09年シーズン終了後に自由契約選手となり、プロ格闘家へ転向。今年4月に初勝利を挙げたが、同時期に球界再挑戦を決意、ここまでの約半年間、社会人チームなどで本格的な練習を行っている。既に複数の球団が水面下で調査を開始しており、98年横浜ドラフト1位が来春、再びユニホームに袖を通す可能性が出てきた。

 古木は人知れず、野球への情熱に身を焦がしていた。オリックスから戦力外通告を受けて約2年。総合格闘家として修練を積む中で、1度は諦めた野球人としての可能性を感じていた。4月のDEEP53(東京・後楽園ホール)でプロ初勝利を挙げたころ「総合格闘技を学んで限界に挑むうちに、今の自分ならば野球界で力を発揮できるのではないか」と球界復帰を意識するようになった。

 当初は、少年野球の指導者を目指して練習を再開した。だが、ブランクを感じさせないプレーに球界関係者から“現役復帰”を強く勧められ「中途半端な状態ではなく、責任を持って取り組みたい。もう、格闘技はやらない」と一念発起した。6月以降は阪神下柳、ソフトバンク松中らを輩出した新日鉄君津硬式野球部が前身の市民球団、かずさマジックに練習参加。都内施設で1日600スイングを超える個人練習を含め週6日、野球漬けの生活を送っている。

 動向を察知した複数の球団が、水面下で調査に乗り出した。関係者は「格闘技を経験したことで、柔軟性や体のバランスが格段によくなった。過去のプレー映像と比較しても、本塁打を量産した横浜時代より攻守ともに技術力が上がっている」という。古木は自由契約選手扱いのため、ドラフト指名を受ける必要はないが「プロが厳しいのは、野球も格闘技も同じ。ハードルは高く、簡単にはいかないと分かっている」と11月24日のトライアウトや秋季キャンプへの自主参加も覚悟している。

 98年にドラフト1位で横浜入りし、4年目で4番に抜てきされた「松坂世代」。プロ通算58本塁打を放ったスラッガーの去就が再び、注目される。