<プロボクシング:全日本新人王決定戦>◇18日◇東京・後楽園ホール

 名門帝拳ジムのホープが、公約通りMVPに輝いた。スーパーフェザー級尾川堅一(23)は、初回から右ストレートなどで実力の違いを発揮。KO勝ちは逃したものの、ジャッジ3人がフルマークの3-0判定で勝利した。帝拳は最多タイの3階級制覇達成となったが、そのリーダーとなる尾川。来年は日本ランカーとして上を目指す。

 銀髪に染めた尾川が右ストレート3連発で、初回からペースをつかんだ。3回には相手の左まゆを切り裂いた。4回からはKOを意識し、シャープなストレートが出ない。それでも終始攻勢でスキは与えず。ジャッジ3人が50-45という、フルマークでMVPを手にした。

 東日本に続いてのMVP宣言を達成も、喜びはもうひとつ。帝拳からは11人が出場し、4人が全日本までたどり着いた。ヨネクラ、笹崎、輪島、角海老宝石の3階級が過去最多。「今までで一番緊張していた。KOの意識もあった」と大和トレーナー。1番手が黒星で最多記録を逃すと、さらに重圧がかかった。

 相手の西脇も尾川同様に6戦無敗でタフだった。「格好悪い試合。緊張で手数もなく、単調になって左は振ってしまった。力が入りすぎ。終盤はへばってしまって」。尾川の口からは反省が続いた。それも高い期待と目標があるからだ。

 父雅一さんに日本拳法で鍛えられ、「高いレベルで勝負したい」と転向した。そして、全日本新人王獲得により、デビューから2年足らずで日本ランカー入りを果たす。「ポイントを取られていないのは自信になる」。王国帝拳のホープ軍団のリーダーは、次へのステップへと進む。【河合香】