<新日本:G1クライマックス24>◇21日◇北海道立総合体育センター◇観衆6000人(超満員)

 オカダ・カズチカ(26)が、三度目の正直でIWGP王者A・J・スタイルズを破って白星発進した。IWGPヘビー級タイトル戦を2度戦い、勝てなかった相手と初戦で激突。バレットクラブの高橋の乱入もはね返し、最後はレインメーカー(短距離式ラリアット)で宿敵を葬った。2年ぶりのG1制覇へ、全勝優勝も宣言した。

 足踏み2回で、オカダが進化への壁を越えた。「AJはホント、壁だったこともあった。ボクらしくない2連敗して。でも小さな壁だったんです。その壁を壊した。自分の勢いが怖いです」。不敵な笑みを浮かべながら、ビッグマウスも戻ってきた。

 息もつかせぬ攻防でも、オカダの1発1発の威力が、スタイルズの体力を奪っていった。コーナーポストに抱え上げ、助走もつけないドロップキックで、場外に吹き飛ばした。15分過ぎ、乱入した高橋にラリアットを浴びた。しかし、意表を突くドロップキックで撃退した。最後はツームストン・パイルドライバーで戦意を奪い、レインメーカーで沈めた。

 IWGPベルトを失い、挑戦試合にも敗れた。自信も失いかけた。しかし、オカダはG1目前の公開練習で「他の選手とレベルの違いを見せつけるために練習している」と話した。これまで、オカダを支えてきたのは、自分で目標を定め、それに向かって努力する姿勢だった。

 愛知・安祥中を卒業後に、プロレス界入りした。陸上100メートルの県大会決勝で8位入賞。中3の内申点が9科目合計40点以上(45点満点)で、スポーツの強豪校から学費免除で推薦の話もあった。それでも「プロレスラーになってたくさん試合がしたい」と、両親を説得して闘竜門に入団。海外修行、新日本と目標通りに進んできた。

 新日本でも12年に史上最年少でG1優勝を果たし、念願のIWGPベルトも巻いた。スタイルズの出現で、進化に少しブレーキがかかったが、この勝利で乗り越えるきっかけをつかんだ。6000人超満員の観客を前に、レインメーカーの復活を見せつけた後「このまま全勝して、西武ドームでもしっかり勝つ」と高らかに優勝宣言した。【桝田朗】