いよいよ崖っぷちに立たされた。大関琴奨菊(31=佐渡ケ嶽)は白鵬との立ち合いで左上手を取るも、肩透かしで簡単に転がされて7敗目。5度目のかど番で関脇陥落の危機に直面し「いいイメージで集中していたけど、足が出ない。反応が悪いのは稽古不足」と肩を落とした。

 1日の稽古で取れるのは10番まで。「そうしないと、翌日に稽古できなくなるから」と、満身創痍(そうい)だ。普段から通院し、場所前に結婚した祐未夫人のマッサージも受けるなど回復に努めてきたものの「ボロボロです。膝も胸も背中もそうだし、疲労というか、弱いところに来るから」。痛みと付き合う分、稽古量は減っていった。名古屋入り前には「結果は分かんない。反応の鈍さとか出てるから」と漏らした。不安は的中した。

 かど番脱出には、残り3日で全勝しかない。まだ対戦のない照ノ富士とは過去1勝4敗と分が悪い。皆勤して陥落となれば、15年前の武双山(現藤島親方)以来。だが名古屋場所では、昨年は優勝争いするなど大関昇進後は負け越し知らずだ。「やることをやって、後悔しないように。しっかり自分の相撲を取るだけ」。23場所務めた地位を守るため、必死で食らいつく。【桑原亮】