横綱日馬富士(31=伊勢ケ浜)が行司差し違えで勝ち星を拾った。土俵際で碧山に突き落とされたが協議の末、珍手の裾取りで2勝目。「冷静だった。もう一丁が挙がるのは分かっていた」と自信たっぷりに答えた。名古屋場所で負傷した右肘を伸ばしてのど輪で起こす場面もあり「よく体が反応して、動いている。まだ右手で突き押して前に出ることはできないけど、心掛けている」と話した。

 133キロで綱を張ってきたが、かわりに何度もけがに泣かされた。「全身で押せないから、ちょっと動いて止まると、いなされてしまう。これが体重の差」と、軽量級ならではの苦悩もある。それでも、最後に優勝した験のいい場所だけに「集中して、1歩でも2歩でも、自分の相撲を取り戻せるように」。2年ぶりの賜杯へ、ここから上げていく。