大関稀勢の里(29=田子ノ浦)が、行司軍配差し違えで命拾いし、1敗を守った。

 この1年間で3勝2敗と苦手とする東前頭2枚目の碧山(29=春日野)と、前日に続いて激しい突き合いとなった。押し込むものの、押し切れない。そんな風に見えた20秒すぎ。のど輪から反対に押し込まれて、最後は土俵外に吹っ飛ばされた、かに見えた。だが、ここで物言いがついた。

 手を挙げたのは正面の藤島審判長(元大関武双山)。実は開始から6秒5の時点で、稀勢の里の押しに碧山の左足が蛇の目の砂を払っていた。藤島審判長は「確定ではないので、とりあえず最後まで取らせた」と説明。取組後にビデオで確認し、碧山の足が出ていたことを正しく確かめた。

 なぜ物言いがついたかも分からなかった稀勢の里は「思い切っていきました」と振り返り、大きな1勝に「攻めていたからこそです」とうなずいた。全勝の横綱白鵬(30=宮城野)と1差を保ち、中日8日目を迎える。