プレーバック日刊スポーツ! 過去の1月11日付紙面を振り返ります。2001年の相撲面は、前代未聞、5大関2日で8敗に九重親方が激怒でした。

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<大相撲初場所>◇4日目◇2001年1月10日◇東京・両国国技館

 大関陣に波乱が続いた。3日目の4大関敗退に続いて、この日から休場、不戦敗の千代大海(24)を挟んで出島(26)魁皇(28)武双山(28)が次々と黒星。序盤戦の2日間での7連敗を含む8敗は前代未聞の珍事となった。あまりの低迷ぶりに、審判副部長の九重親方(45=元横綱千代の富士)が激怒した。大関陣でただ1人勝った雅山(23)は幕内通算100勝目。4連勝は、早くも横綱武蔵丸(29)と貴乃花(28)の2人だけになった。

 人気低迷に拍車をかけるような、大関陣の不調ぶりだ。この日トップで登場した出島が敗れると、この日から休場の千代大海を挟んで魁皇、武双山が続けて黒星。3日目の武双山から数えて、2日間で8敗、序盤7連敗は日本相撲協会の広報部も記憶にない不名誉な記録となった。4日目で、5人合わせて早くも10敗。あまりにもさびしい状況だ。大関陣の前日の巻き返しを期待した館内の観客も、あきらめムードだった。

 この醜態に、審判長を務めた九重親方が激怒した。「うちの休場しただらしない大関(千代大海)を筆頭に全然、けいこしない。だから肝心なところで勝てないんだ。今、勢いのあるのは巡業でもガンガンやってるやつら。けいこが足りないんだ!」と非難した。さらに、序盤でこれだけ負け込めば、上位と当たる後半戦でさらに黒星を重ねると危惧(きぐ)する。時津風理事長(63=元大関豊山)は「攻めて負けるのだから、下位と力の差がないということか」と渋い表情だった。

 大関陣は当然、責任を感じていた。3敗目を喫した出島はこの日も前に出て、土佐ノ海を追い詰めながら、はたき込まれた。「体調は悪くない。相撲は前に出ているのに、最後の詰めが甘い」と話した。連日、土俵際ではたき込まれる結果。同じあやまちに、悔しさは人一倍だ。魁皇は前日ただ1人勝って砦(とりで)となったが、この日は右上手を取りながら栃乃洋に最後、寄り切られた。「前に出ればよかったけど、失敗した雰囲気が悪いね。大関陣がのろわれてる? 分からない」と話し、表情は終始、硬かった。

 昨年、5大関時代を迎えて大相撲の盛り上がりが期待されたが、人気は反比例している。横綱を狙う強い大関が期待される中で、安定した力を発揮できない。歴史に名を残した大横綱ほど、大関在位期間は短かった。大鵬は5、輪島は4、北の湖、千代の富士は3場所で横綱昇進を決めた。しかし今の大関には、その勢いがない。魁皇を筆頭にファンの期待は大きいだけに、奮起が望まれる。

※記録と表記は当時のもの