東十両3枚目の宇良(24=木瀬)が、同9枚目の山口を押し出して8勝目を挙げ、2場所連続の勝ち越しを決めた。低い体勢から足をつかむレスリング仕込みの動きで、持ち味を発揮。地元春場所(3月12日初日、エディオンアリーナ大阪)での新入幕昇進へ、前進した。

 低空タックルが、突き刺さった。宇良が、らしさ全開の相撲で勝ち越した。低く潜って山口を翻弄(ほんろう)すると、両足をつかんで一気に出た。「前に出られたんで良かった」。上体をかがめたまま、一気に土俵外まで押し出した。

 レスリング仕込みの「押し」だった。相撲は4歳から始めたが、小4から中3まではレスリングにも取り組んだ。マットの上で約80分間組み合う中で、低く潜るタックルも身に付けた。

 「僕は体重がないので、押し方を研究しました。自分が有利になるポイントに、いかに圧力をかけられるかが大事」。相撲の時も、まず体勢を考える。「速く当たることより、相手より有利な形を先に取りにいく」。低く潜る形こそ、小柄な宇良が持ち味をフルに発揮できる体勢だった。

 8勝目で、新入幕への最低限の“権利”を手に入れた。勝ち星を2桁に乗せれば、地元大阪での昇進が確実になる。「残り4番、勝つ気で頑張りたい。(幕内は)意識せず一番一番勝てるように最善の策を尽くしたい」。今場所から結い始めた大銀杏(おおいちょう)版携帯ストラップが登場するなど、人気は抜群。気を引き締め、ラストスパートをかける。【木村有三】