手負いで臨んだ横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)の土俵態度には、協会関係者の胸を打つものがあったようだ。

 幕内後半戦の審判長として正面土俵下から見守った審判部の二所ノ関部長(60=元大関若嶋津)は「かわいそうなぐらい(稀勢の里は)何も出来なかった。拍手を打つのもパチンという音がしなかった。相撲も左が使えず一方的だったね」と、目の当たりにした稀勢の里の姿を口にした。

 田子ノ浦部屋も属する二所ノ関一門の総帥でもある同部長は、自らの経験も踏まえ「大丈夫と思っても無意識のうちにかばってしまうものなんだよね」と、横綱の胸中を推し量るように話した。