大相撲夏場所(14日初日、東京・両国国技館)で大関昇進を目指す関脇高安(27=田子ノ浦)が7日、4日連続の出稽古で玉のような汗を流した。

 前日までは3日連続で時津風部屋に出向いたが、この日は千葉・習志野市の阿武松部屋に足を運び出稽古を行った。

 鋭い出足からの突き、押しに定評のある新入幕の阿武咲(20=阿武松)と、火の出るような熱のこもった36番の三番稽古。最初の10番こそ7勝3敗と格の違いを見せたが、昭和以降10位のスピード新入幕を果たした阿武咲の激しい押しに、徐々に劣勢に追い込まれた。突き起こされ体が浮き背後を取られるシーンもあり、途中からは高安の方が「もう一丁!」「お願いしますっ!」と再戦を要求。阿武松親方(55=元関脇益荒雄)が「高安が受けに回ってくれたから」という後半には、スタミナがきれたのか4連敗も。結局、17勝19敗と負け越して炎の三番稽古を終えた。

 もっとも、腰高の弱点克服という明確な狙いがあったこともあり、稽古後の高安は笑みを浮かべながら稽古を振り返った。「阿武咲のように体が丸っこくて小さく下から押し上げるような相手は、まわしを取らせてくれない。中に入って激しく攻めてくる相手が自分の壁。その意味で、いい稽古になった」。横綱稀勢の里(30)の負傷もあり、場所前に兄弟子と稽古しないで過ごすのは「たぶん初めて」というが「連日、動けているし、プラスに考えてやっている」とプラス思考を保ちながら初日に向かう。