前頭筆頭の貴景勝(21=貴乃花)が、同じく筆頭の玉鷲を押し出し、自己最高位でうれしい勝ち越しを決めた。

 ここまで2横綱1大関を撃破して8勝4敗。10日目には松鳳山戦で口の中を裂傷し、上唇付近が腫れた状態で土俵に上がっている。痛々しい表情を浮かべながらも「うれしいです。(口の痛みは)大丈夫です。(自己最高位の勝ち越し?)たまたまです。挑戦者らしく何も考えずやってきたことを出そうと思った」と無欲の快進撃を強調した。

 7月の名古屋場所でも前頭筆頭まで上り詰めたが、5勝10敗と上位陣の壁にはねかえされていたが、今場所成長の跡を示した。来場所は初の三役も視界に入ってきた。「まだ残り3日間ある。1日1日の積み重ねで自分にできることをやる。実力もないので一生懸命やるしかない。気持ちで負けないようにしたい」。謙虚に言葉を選びながらも落ち着いた様子で闘志を胸に秘めていた。