流れるような、よどみない動き。相撲巧者でなる横綱鶴竜(32=井筒)が、完璧な相撲で東前頭5枚目の隠岐の海(32=八角)を一蹴。送り出しで破り、賜杯レースで単独トップを守り10連勝とした。

 鋭い出足で立ち合いから右前みつを引いての寄り。一度、土俵際まで詰め、寄り返そうとする相手の反動を利用するように、右上手からの出し投げで崩し後ろ向き。そのまま送り出した一番に八角理事長(元横綱北勝海)は「おっつけながら(上手を)取っているから危なげない。最高の取り方をしている。久しぶりに、いい鶴竜を見られる」と称賛。同理事長は4場所連続休場明けの89年初場所で、初日から14連勝し4度目の優勝(14勝1敗)を成し遂げている。そんな経験も踏まえてか、14年九州場所、16年九州場所に続き3度目となる節目の10連勝をマークした鶴竜の心中を推し量るように「これでだいぶ楽になっただろう。いつもの場所に戻った、という。これぐらいから優勝を意識するでしょう」と話した。

 また土俵下で審判長を務めた藤島審判部副部長(元大関武双山)も「鶴竜らしい技能相撲だった」と褒めた。優勝争いについては「(ただ一人、1敗で負う)栃ノ心次第でしょう」と見通しつつも「ただ、今の鶴竜は負けそうな感じがしない」とも語り、その強さ、安定感に太鼓判を押した。