静岡市で8日に開催された大相撲春巡業「富士山静岡場所」で、力士が土俵上で小学生らに稽古を付ける「ちびっこ相撲」に、これまで参加できていた女子児童の参加が認められなかったことが12日、主催した実行委員会などへの取材で分かった。日本相撲協会から「女子を土俵に上げるのは遠慮してほしい」と要請があったという。

 実行委によると、協会で静岡場所を担当する荒磯親方(元幕内玉飛鳥)から4日に電話があり、ちびっこ相撲に女子を参加させないよう求められた。その際、理由の説明はなかったという。

 富士山静岡場所は2013年から毎年開催。ちびっこ相撲も、これに合わせて小学生らを対象に行ってきた。これまで女子が排除されることはなく、ほぼ毎年土俵に上がっており、今年も静岡市と焼津市の相撲クラブの女子児童5人ほどが参加予定だった。

 県相撲連盟の下村勝彦会長は「急に参加できなくなりがっかりしていた子もいた。次回は上げてほしい」と語った。

 協会広報部によると、巡業の在り方を見直す一環として今年3月、ちびっこ相撲への参加を男子のみにする方針を決めた。担当者は「男子に比べ、女子のけがが目立つと保護者や主催団体から意見が寄せられた。安全面を考慮した」と理由を説明している。

 4日に京都府舞鶴市であった春巡業では、土俵上で倒れた舞鶴市長の救命措置に当たった女性らに対し、土俵から下りるよう場内放送が流れ、問題となった。