元横綱日馬富士関の傷害事件を巡り、被害者の貴ノ岩が慰謝料など約2400万円の損害賠償を求めた訴訟で、貴ノ岩関は30日、提訴を取り下げた。

貴ノ岩はこの日、文書で経緯を説明した。

「裁判を起こしてから、母国であるモンゴルでは私に対する想像を超える強烈なバッシングが始まり、私の家族もモンゴルで非常につらい目に遭うことになりました。実際に家族から何度も耐えられないとの連絡があり、もう裁判をやめてくれとの要請がありました。私はどのような反応にも立ち向かう覚悟でしたが、これ以上、私の家族がモンゴルでつらい思いをすることは私自身の気持ちとして耐えられません。したがいまして、日馬富士氏に対する損害賠償の請求をせず、治療費をはじめ一切の費用を自分で負担することにしました。これからは相撲道にまい進し、相撲で活躍して、私の家族にはモンゴルで平穏な生活をさせたいと思います」。

本件窓口の富岡潤弁護士は「貴ノ岩関の人権を擁護することがその任務と考えていましたが、このような形でそれを断念せざるを得ず、極めて残念です」とコメントを出した。