大相撲秋場所(9月8日初日、東京・両国国技館)で新十両に昇進することが決まった魁勝(24=浅香山)が24日、名古屋市の部屋宿舎で会見した。会見には師匠の浅香山親方(元大関魁皇)も同席。

14年2月に同親方が部屋を創設して以来、同部屋としては初の関取となった。魁勝は開口一番「信じられない気持ち。おかみさんから電話で『上がったよ』と言われてビックリした」と、声を弾ませた。

名古屋場所では西幕下4枚目で4勝3敗と勝ち越した。だが同5枚目の若元春が5勝2敗としていた。番付編成会議を行う審判部に所属する浅香山親方は「魁勝は、若元春に負けています」と、むしろ自分の弟子よりも、他の部屋の力士が十両昇進にふさわしいとして、進言したという。だが通称「入れ替え戦」と呼ばれる幕下陥落の危機にある十両力士との取組の結果など、総合的に判断して魁勝が昇進にふさわしいと判断された。

この日が47歳の誕生日だった浅香山親方は「正直、上がるとは思っていなかった。驚いた」と、何よりのサプライズのプレゼントに目じりを下げた。6年目での関取誕生だが「早かった」と、振り返る。魁勝は高校3年時に、柔道100キロ級で愛知県大会4強の実績はあったが、相撲経験はなかった。同親方は「うちは素人の子ばかりだから、もっと時間がかかると思っていた。本当によく頑張ってくれた。とりあえず、一つの目標を達成できた」と話し、今後は幕内力士、さらには次の関取育成という新たな目標を掲げた。

実は魁勝は過去に2度、引退を決意し、師匠に伝えたことがあったという。魁勝は「番付が上がらなかったり、全敗したり…。でも辞めないでよかった。親方に『絶対に続けていれば、いいことがあるから』と言われ、それを信じてやってきた」と、満面の笑みを見せて話した。浅香山親方も当時を思い出し「今やっていることは無駄じゃない。やり切ってダメなら仕方ない。でも、まだまだ、やり切っていないと思った」と、熱い口調で語った。

師弟ともに厳しい稽古で成長してきた自負がある。だからこそ浅香山親方は「今後も厳しく指導する」と宣言。それを横で聞いていた魁勝は「ほどほどで…」と、人なつっこい笑顔を見せながら、恐る恐る返し、会見場の笑いを誘っていた。