横綱白鵬(34=宮城野)が史上最多を更新する43度目の優勝を飾った。34歳8カ月での優勝は、年6場所制となった58年以降では4位の年長記録となった。

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本来なら御嶽海がやるべき立ち合いの鋭い踏み込みを白鵬がやった。さらに今場所の白鵬を象徴するような優勝決定の一番だった。警戒する相手には、左を差しにいって勝っている印象がある。右四つを警戒する相手をはぐらかし、変幻自在に取れるのが白鵬の相撲センス。流れの中で四つ身を変えても勝てるのは運動神経の良さ。全てがかみ合った。場所前の稽古では、てっぽうを多く打ったと聞く。体の衰えをカバーするための向上心は、残念ながら今の上位陣には感じられない。だから休場明けの優勝を何度も許してしまう。そこは白鵬を見習うべきで今後も若手の壁になってほしい。一方で注文もある。親方になるために日本国籍を取ったのなら、今後は自分が勝つことだけではなく己を磨いてほしい。形になっていないかち上げ、言動もそう。後進を育てる意味でも、誰にとっても手本となるような姿を示してほしい。親方になれば、それがきっと生かされる。(高砂浦五郎=元大関朝潮・日刊スポーツ評論家)