大相撲の横綱白鵬(34=宮城野)が、横綱審議委員会(横審)から取り口について「見苦しい」「やりすぎ」などと、厳しく批判された。

九州場所千秋楽から一夜明けた25日、横審の定例会合が東京・両国国技館で行われた。同場所で白鵬は、14勝1敗で史上最多43回目の優勝。だが立ち合いの張り手やかち上げは、横綱にふさわしくないと、横審は日本相撲協会に指導を要望した。一方の白鵬は福岡市内で会見し、優勝50回を目標に掲げた。

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通常は15分程度で終了する横審の定例会合が、この日は2倍の約30分間行われた。話題の中心は白鵬の立ち合い。張り手や、肘打ちともいえるかち上げについて、矢野弘典委員長(78=産業雇用安定センター会長)は「ちょっと、やり過ぎではないかと。横綱の振る舞いとして、見苦しいのではと、ほとんど全員から意見が出た」と、全9人の総意として苦言を呈した。

特に12日目の小結遠藤戦は、立ち合いは左で張り、右は肘が顔面をとらえた。鼻から大流血の遠藤を“KO”した格好。矢野委員長は「一番目立ったのが遠藤戦。そこまでしなくてもいいんじゃないか」と顔をしかめた。続けて「43回も優勝し、史上最高の実力者と言っていい大横綱。後世に名が残るような横綱がやったように、白鵬もしてほしい」と改善を要求。「指導してほしいとお願いした」と、相撲協会にも求めた。

2年前にも同様の意見が出た際、当時の北村委員長は「15日のうち10日」と、白鵬の立ち合いの張り手、かち上げの頻度が多いと苦言を呈した。この日の矢野委員長は「回数の問題じゃない」ときっぱり。芝田山広報部長(元横綱大乃国)も「張り手はいい」と話したが、2年前の苦言以降、激減していた肘打ちのようなかち上げが、再び増えたことには表情を曇らせた。

横審の会合に先立って会見した白鵬は、立ち合いについて「前からやっていること。勝てないと生き残れない」と、規則の範囲内であり、さまざまな技の一つとの認識を示した。協会としては白鵬や師匠を呼んでまで指導することには否定的。本人の自覚に委ねられる見込みだ。【高田文太】