元中学横綱の西幕下54枚目吉井(16=時津風)が、1989年(平元)夏場所の貴花田以来31年ぶりとなる16歳での幕下勝ち越しを決めた。

西三段目3枚目魁鵬との顔合わせとなった7番相撲。左四つで前に出ることはできなかったが、相手の動きをよく見て肩透かしを決めた。新幕下場所を4勝3敗で終えたが「勝ち越したのは良かったけど、まだ前にいく相撲じゃない。もっと前に出る相撲を磨いていきたい」と、反省も忘れなかった。

場所前には中川親方(元前頭旭里)の不適切指導の影響で中川部屋が閉鎖となり、吉井は時津風部屋に転籍して初めての場所となった。異例の移籍を経て迎えた場所となったが「特に不安はなかった」と断言する。新しい部屋では関脇正代、前頭豊山らが胸を出してくれることもあり「とにかく相撲のことだけを考えて、兄弟子ともたくさん稽古した。時津風部屋にはたくさんの幕下の兄弟子がいる。幕下に上がってから、立ち合いを磨いてきた。いつもと違った当たりができた」と成長を実感した。

「とにかく自分は相撲を取るためにプロに入った。まだまだ体も子ども。もっとやれば必ず関取に上がれると自分を信じている。親方からまだ筋肉が全然ないと、パワーで負けていると言われている。いっぱい食べて、いっぱい筋トレして頑張りたい」。来年の目標として「幕下上位に定着できるようになりたい」と掲げた。注目を集めるホープは、焦らずに出世を目指す。