幕内トップの11勝1敗同士で優勝争いの大一番となった“新旧大関”による結びの一番は、大関から序二段まで落ちはい上がってきた幕尻の東前頭17枚目照ノ富士(28=伊勢ケ浜)が、新大関の朝乃山(26=高砂)に寄り切りで勝利。2日を残し優勝争いで単独トップに立ち、1歩リードした。

協会トップの八角理事長(元横綱北勝海)は、報道陣の電話取材に対応。取組前には「照ノ富士の柔らかさが生きるような気がする。(どちらにしても)いい相撲をお願いしますよ」と熱戦に期待を込めた。その一番が終わり、照ノ富士の表情がテレビ画面に映し出されると「『俺が大関だっ』って感じだな」と意地を見せた大関経験者の心情をくみ取るように話した。「(取組時間は)短かったけど、いい相撲だった」と振り返る一番で照ノ富士の勝因に挙げたのが「上手を切ったこと」とし「切り方がうまい。体も柔らかい」と分析。敗れた朝乃山については、常々、話しているように上手の取り方、その位置について言及。「あのような(横からつかむような)取り方だから。小さい人にはきくけど、大きい人を相手にすれば、このような結果になる。投げに行っても防戦一方だった」と振り返った。

場所は2日を残し、幕内優勝争いは1差をつけた照ノ富士がリードする展開。それでも八角理事長は、照ノ富士有利かの問い掛けに「いや、そうとも限らない。まだまだ」とし、14日目の対戦が決まっている正代を含め「残りは正代と(対戦相手未定の)千秋楽は御嶽海でしょう」と予想。両関脇が照ノ富士の復活優勝の鍵を握りそうだ。さらに「朝乃山も、しぶとくついて行くこと。まだまだ千秋楽まで分からない」と、早ければ今日14日目にも決まる優勝争いが、千秋楽まで持ち込されることを期待した。