大相撲の二所ノ関部屋に入門した高橋優太(22=日体大卒)と嘉陽快宗(やすとき=同)が9日、母校の海洋高で入門会見を開いた。中村親方(40=元関脇嘉風)も同席した。

高橋は福島県須賀川市出身で、嘉陽は千葉県市川市出身。「越境入学」した糸魚川市の能生中時代から切磋琢磨(せっさたくま)してきた2人は、「第2の故郷」に恩返しを誓った。

はち切れんばかりのスーツに身を包んだ高橋と嘉陽が、真剣な面持ちで話した言葉に「恩返し」「感謝」という言葉が何度も口を突いて出た。中村親方は「いち早く関取になれば、自動的に恩返しになる」と同期入門の2人に期待した。能生中-海洋高-日体大と10年間“同じ釜の飯”を食ってきた2人。角界でも二所ノ関部屋で同門になる。高橋は「ライバル的なものもあれば、兄弟的な部分もある」と2人の関係を明かした。

184センチ、143キロの高橋と、170センチ、150キロの嘉陽の持ち味は違う。高橋は「右四つからの寄り切り」という万全な形を持っている。嘉陽は「当たって、突き放して相手に何もさせない」と自分の強みを話した。

高橋の実力は実証済みで高校では選抜高校十和田大会で優勝。大学1年から団体戦レギュラーになり、20年の東日本学生相撲選手権では個人戦2位に入った。大学4年でようやくレギュラーの座を手に入れた嘉陽は昨年の全国学生選手権と全日本選手権で8強入り。新弟子検査は15日だが、この実績がものをいい、5月の夏場所では三段目付けだしでデビューする予定だ。前相撲からデビューの高橋とは立場は逆転したが、高橋は「嘉陽は嘉陽。自分は自分。下からひとつずつ前に進みたい」と発奮材料にしていた。

2人が、憧れの力士としてあげた名前は「中村親方(元関脇嘉風)」だった。中村親方は「こういう場面で気遣いができる。人として大事なこと」と笑いながら人間性も絶賛した。本音は、高橋の憧れは元横綱鶴竜で、嘉陽は貴景勝。中村親方は「ひと花も、ふた花も咲かせるのが私の責任」と合計293キロの2人を指導する責任の重みを口にした。【涌井幹雄】