日本相撲協会の諮問機関である横綱審議委員会(横審)の定例会合が、大相撲夏場所千秋楽から一夜明けた23日、東京・両国国技館で開かれた。高村正彦委員長(80)が報道陣の代表取材に応じ、各委員の声も含め夏場所を総括し、同協会への要望も伝えた。

8日目まで3敗を喫しながら優勝を遂げた横綱照ノ富士について同委員長は「両膝が悪くたいへんな状況の中で、最初は不安もあったが最後は横綱としての、しかるべく成績を残してくれた。大変ありがたい」と称賛。今後への期待として「少しでも長く、横綱にふさわしい成績を挙げ続けていただきたい。期待しています」と話した。

3人中、2人が負け越した大関陣については「期待されてしかるべき地位にある方が、必ずしも期待された成績を挙げられなかった。先場所、申しあげた戦国時代の群雄割拠の感想は、今場所においても変わっていない」と厳しい言葉こそ避けたが、期待外れだったことに残念そう。取材対応の最後に「今、クンロク(9勝6敗)大関は、いい大関になってしまっている」と苦笑しながら奮起を促していた。

一部委員からは、日本相撲協会への要望があった。優勝が決まった千秋楽結びの一番で、照ノ富士に負け越しが既に決まっていた大関御嶽海(29=出羽海)を当てた取組編成についてだった。「大関だからといって負け越した人を当てないで、もっと元気な人がいる。違う考え方があるのでは、という意見があった」と、いわゆる「割崩し」の取組編成をしてしかるべき、の意見があったという。その一方で「大関というのは横綱とともに特別な地位であるわけで、あまりそれは崩さない方がいいのではないか、という意見もあった」と本来の番付優先の取組編成を推す声もあったという。大関が番付通りの成績を残していれば起きなかった議論だが、特に協会に何かを求める声ではなかったようだ。

横審としての要望はもう1つ。「コロナもある程度、収まりかけている、専門家の意見もあり、いつからというのは慎重にではあるが、出稽古を認めるような方向で(お願いしたい)。部屋によっては(関取不在や少人数などで)割を食うことがある」と、早期の出稽古解禁を進言した。これは前任の、矢野弘典委員長も要望している。「難しいけど頼みます。出来るだけ早く」と委員会に出席した日本相撲協会の芝田山広報部長(元横綱大乃国)に語りかけた高村委員長だが、感染状況次第といえそうだ。