AKB48として最後の劇場公演を終えた高橋みなみが8日、報道陣の囲み取材を受けた。質疑応答は以下の通り。

 -卒業の実感は

 高橋 リハーサルのときに初めて、卒業するんだなと思って、頭から泣いちゃいましたね。

 -3月の横浜スタジアム公演との違いは

 高橋 大きなコンサートというのは、皆さんに感謝の気持ちを伝える場所。会場も広いので、自分の体も小さいし、大きなパワーを皆さんに届けなきゃという気持ちだったり、空気が大きすぎて、楽しい、楽しいという気持ちの方が前のめりになってしまった。劇場というホームに来て、250人のお客さんと向き合ってしまうと、どうしても10年前の自分に戻ってしまう。これだけホームだった場所に、もう帰ることができなくなる寂しさを感じ、これが最後なんだな、みんなが歩んできた道のりだなと思った。

 -リハーサルで卒業を実感した具体的な瞬間は

 高橋 今回、特別公演という形にさせていただいた。普通の卒業公演だと、今までいたチームの劇場公演の演目プラス、卒業曲を4曲ぐらいなんですけど、去年末ぐらいに自分のチーム(高橋チームA)を解散してしまっていた。秋元先生に相談したときに、「特別公演じゃないのか? やりたいことをやった方がいいんじゃないのか?」って言っていただき、自分でセットリストを組ませていただいた。ただ、どうしてもアカペラで「桜の花びらたち」を歌いたくて、リハーサルをしたんですけど、ふと無音の中、客席を見たときに、歌えなくなってしまった。メンバーにも笑われた。「早いよ」とか「歌ってよ」とか言われた(笑い)。

 -お客さんの反応は

 高橋 普通、卒業公演って自分で楽曲を選ばないんです。今回、選ばせていただいて、だからこそやりきれた。もう劇場でやりたい曲はないというぐらいできたのは良かった。自分で曲を選んだ分、反応が気になっちゃいました。皆さんすごくしっかり受け止めてくれ、楽しんでくれた。これこそホーム、何をやっても許してくれるのが劇場だなと思った。

 -過去の劇場公演のタイトル曲を並べた

 高橋 すごく悩んだ。どういう形でお送りするのがいいのか。「たかみな、やり残した公演」という形にして、やったことのないユニット曲とか、ブリブリの曲とか、いったん並べてみたんです。でも、最後にはふさわしくなかった。1期生として劇場公演の演目を6個、経験できたのはすごく大きな宝。最近だとチームAが5年半ぶりに劇場公演をもらったけど、6個もらったというのはありがたい。1度、歴史として振り返って、前に進むのは大事かなって思う。劇場公演だからこそ、秋葉原の劇場がホームだからこそ、許される楽曲だなと思った。

 -昔の仲間たちが集まった

 高橋 「目撃者」公演の演目のときにキャプテンをやっていて、高橋チームAを卒業していったメンバーを含めて招集していただいた。仲川遥香ちゃんとか、仕事で来られない子もいた。でも、懐かしい景色というか、最後に前田(敦子)が隣にいて、一瞬であのときの空気感に戻れるのはすごいこと。何かあったときに来てくれるのは仲間だなと。

 -10年前と今とで、劇場での感じ方の違いは

 高橋 遊び心を持てるようになった。ずっと持てなかったもの。舞台は生ものだし、真剣に向き合わないといけない。あれだけ近いから、おもしろくないと笑ってくれない。あくびをする人も見えてしまう。そこに向き合うというのを、何年も何年もすごく真剣にやりすぎた。でも、ここ3年ぐらいは、もっと楽しくやっていいんじゃないかなと。250人にだけ届けるというのは、すごくおもしろいことだなって思うんです。後輩たちにも、ファンの人を獲得しなきゃとか、そうなりがちなんですけど、楽しむということが大事なんじゃないかなと思いました。

 -10年前の自分にかけたい言葉は

 高橋 まず、髪形を替えてと言いたい(笑い)。かたくなにハーフアップをしてたんです。覚えてもらえるように目印に、ハーフアップにリボンにしていたんです。(生え際が)後退しそうになったんです。でも若干、(髪の毛に引火して)ボヤ騒ぎとか言われましたけど、髪が燃えてからは結べなくなった。自由にできるようになって「髪、下ろしてる方がいいじゃん」と言われたり。どうしても「自分はこうだ」と思い込みがちだし、若い子も思いがちなんです。それよりも、相手が言ってくれることを信じて、乗っていくことが大事。もっと穏やかに、柔軟に生きてほしいなと言いたい。

 -他のメンバー、後輩には何か言ったか

 高橋 あまり言わなかったです。伝えるべきことは、この1年の猶予の中で伝えてこられたと思う。自分の卒業ソング(「背中言葉」)じゃないけど、背中で見せられたらいいなと思っていたので、言わなかった。後ろを振り返って「ありがとう」と言ったのが唯一だったかもしれない。

 -メンバーからの言葉は

 高橋 昨日、25歳の誕生日を迎えたので、いろんなメンバーからたくさんメールをもらって、「本当に卒業なんですね」「寂しいです」という言葉を。寂しいと言っていただけるのはうれしいこと。

 -最後に小嶋陽菜さん、峯岸みなみさんと3人で話していた

 高橋 自分の中でどうしても心残りなんです。小嶋と峯岸を残して卒業していくのは。10年のプランでは、先に2人が卒業していると思ったので。まあ、いろいろ(峯岸が)坊主になったりとか、何があったら分からない(笑い)。小嶋さんも「卒業するする詐欺」と言われて…。キャラの濃い2人が残って、自分は先に旅立つことになったけど、卒業のときに呼ばれたら行きたい。

 -これからは恋愛解禁で、本格的に外へ出られる

 高橋 そうですね。この後すぐ打ち上げなんで、気を付けたい。すぐ撮られるから。打ち上げとか、一番危ないですから。

 -AKB48の肩書がなくなって何をしたいか

 高橋 仕事ですよ~。明日の「ガールズアワード」も、9時からリハなんですから。今日はお酒を飲みすぎて、ベロベロにならないように気を付けなきゃなと思う。適度に乾杯しながら、新しい自分の1歩目に向けて調整したい。

 -25歳で被選挙権を手にする。選挙に出るつもりは

 高橋 ないですよー(笑い)。横浜スタジアムのリハの時、総選挙の受け付けが始まっていて、私がリハーサルをしている後ろで、立候補をしていた。「まじ楽~」って思いました。まあ、にゃんやん仮面とか、なぞの物体が立候補を表明してますけど、選挙が盛り上がって欲しいなと思っているし、私自身は選挙を見守る側としていたいなと。

 -メンバーに送る答辞は

 高橋 過去にとらわれてほしくない。積み上げてきたものに乗せていくんじゃなくて、新しい11年目というスタートなので、ゼロからみんなで、楽しく、これが大事ですね。AKBを愛して作っていってほしいなと思う。

 -劇場で学んだことは

 高橋 多すぎますね。遊び心を持った方がいいとか、何を自分の目標として立てるか。ファンあての自分たちなんだなと思いました。自分はお客さんが7人のところから見ていたので。今では当たり前だし、今日もありがたいことに倍率がすごかった。お客さんが7人のときがあったことが、人生の糧になった。いつか見に来たとき、ずっと満員でいてほしいなと思う。

 -「劇場」をひと言で言うと

 高橋 ホームです。家です。学校です。普通の学生生活では学べないこと学んだし、青春のすべてはあそこにあった。

 -プライベートでやりたいことは

 高橋 時間がないんです(笑い)。お仕事をぶちこみまくっちゃった。ひとまず、走り抜けたいな。やばくなったら、事務所さんに「ちょっと日曜、休みを下さい」と言おうかな。秋元先生とも1、2カ月に、「卒業、近くなったね。落ち着いたらみんなで旅行に行こう」と言ってくれてる。でも秋元さんも私も、落ち着く気配がないので、もうちょっと先になるかな。忙しいことはありがたいので、体を壊さないように頑張ります。

 -劇場を去るときに床を触った

 高橋 劇場公演では、2度とあの板を踏むことはない。1個1個の傷だったり、それを見ると10年の歴史を感じた。思わず触っちゃいました。「ありがとう」って

 -総監督の横山由依さんには

 高橋 11年目というのは大変だと思います。彼女に総監督背負わせてしまうのは申し訳ない。秋元さんが言っていたように、チャンスだと思ってほしい。総監督ということで、名前を知ってもらうきっかけになる。不器用なところがあるけど、他のメンバーも一緒に頑張ろうと思わせてくれる子。自分らしく楽しんでやってほしい。私、「頑張れ」という言葉が嫌いなので、「顔が晴れる」と書いて、「顔晴って」ほしい。

 -公演の最後に「頭にごはん粒が付いていた」と言われていた

 高橋 ワックスみたいな塊が付いていて、恥ずかしいですよ。最悪ですよ。10年の最後の日に。ドジなところが自分らしいなと思います。

 -壁掛け写真を外した

 高橋 10年目の真実なんですけど、「壁掛け」だから、壁に掛かってるのかと思ったら、マジックテープでした。ビックリしちゃって。「引っ張って下さい」って言われて、ビリビリってなって(笑い)。自分が入っていたチームから抜け、「たかみなが死んだ」って思いました。

 -小嶋陽菜さんから誕生日プレゼントに、AKB48公式10年史「涙は句読点」をもらいました

 高橋 もう私1、2冊、持ってますから。小嶋さんにもらった本を読みたいと思います。

 -プロデュースという形でAKB48に関わりたいというつもりは

 高橋 秋元さんの代わりはいないんですよね。10年やってきた中で、ファンの方が喜ぶ楽曲、メンバー構成とかは現時点のAKBは分かる。でもきっと船は進んで行きますから、新しいメンバー、楽曲が増えたら、私の知らないAKBになっていくんじゃないかなと。ただ、プロデュース公演は楽しかったので、「やってみませんか」と言われたら、名前を伏せてやりたいです(笑い)。

 -「何仮面」ですか

 高橋 何仮面かな~。「努力仮面 」? やりたいと思います。

 -シンガー高橋みなみとしての意気込みを

 高橋 秀でている才能がないなりと思います。才能がないなら、ないなりに努力すればいい、というのを教わった。1人になって、苦しい時期もあると思うけど、ゆっくりAKBで10年かけて成長できたように、学んでいきたい。秋にはアルバムを作れるので、音楽という形でも届けられるような女性になりたい。

 -最後にメッセージを

 高橋 あれだけ人数がいる中で、私を選んでくれたファンのみなさん、ありがとうございます。48グループを10年、もちろん途中から知ってくださった方もいると思う。いろんな形で支えてくださっているファンの皆さん、スタッフの皆さん、こうして記者の皆さんも集まってもらえるのは、すばらしい環境。10年で死ぬほど忙しい時期があったんですけど、感謝を忘れた自分がいたのが悔やんでいることでもある。当たり前に仕事があると思っちゃいけないと思った。後輩たちにも分かってもらって、たくさんの方に感謝を込めながら頑張ってほしい。48グループの応援もよろしくお願いします。記者の皆さん、遊びに来て下さいね、私の会見に。だって、いやだも~ん。皆さんに会えなくなるのが。どんどんメンバーもいじってあげて下さい!。