福岡市「カワイイ区」の区長を務めていたAKB48の篠田麻里子(26)が19日、退任することになった。篠田は昨年8月末に福岡市がPR活動の一環としてホームページ上に開設した仮想行政区の区長に就任。しかし、「男女差別を助長する」など市民から4件の苦情があり、ネット上でも賛否の議論が交わされる騒動になった。市が「ボランティアの篠田さんに迷惑がかかる」と所属事務所と相談して“スピード退任”を発表した。

 カワイイ区を巡っては、昨年11~12月に市民から「カワイイ女子を推奨することは女性の自立を阻む」「男女差別を助長する」など4件の苦情が寄せられていた。

 こうした市民の声を受け入れ、市の男女共同参画審議会が2月7日に審議、結論を持ち越していた。苦情の存在が一部で報道され、ネット上で賛否騒動に発展した。市広報戦略課は「議論に直接関係ない篠田さんに迷惑をかける。イメージを損ないかねない」と懸念。市側が15日に退任を提案し、篠田の事務所と18日に合意した。

 カワイイ区は昨年8月末に、福岡県糸島市出身の篠田を区長に、市内8番目の「行政区」として開設された。篠田は無償で引き受けた。登録した区民にメールマガジンを送ったり、ホームページ上で福岡のイベントをPRしていた。篠田人気も功を奏し、わずか5カ月余りで“人口”4万1833人(2月19日現在)に膨れ上がった。この企画には、2012年度で約1000万円の予算が投じられた。

 市広報戦略課によると、「豊かな食」「アジアとの文化交流の歴史と風土」など福岡のあらゆる魅力を「カワイイ」の言葉に詰め込んだという。既に4万人以上の登録で、一定のPR効果があったと認識している。市広報戦略課は「これまで通り継続し、後任区長は公募も含めて検討する」と説明した。

 この日の退任報道を受け、市には電話などで「差別に配慮が足りなかった」「たった4人の苦情で辞めさせるのか」の反響もあったという。篠田の所属事務所は「福岡市の発表の通りです。事務所としては、コメントすることはありません」とした。高島宗一郎市長(38)はこれまで「男女差別とは認識していなかった」としていたが、退任決定を受け「大変残念で、申し訳なく思っている」とコメント。

 「カワイイ」は、個性的キャラクターやコンテンツを表す言葉として使用されるようになったが、まだ「業界用語」の範囲。男性目線で判断する「かわいい」と混同されてしまったところに問題があったようだ。