HKT48が27日、いきなりの東京・日本武道館で初の単独コンサートを開催した。25日から日替わりでAKB48グループが出演する「AKB48グループ臨時総会~白黒つけようじゃないか!~」の3日目に出演。昼公演で、約1万1000人の観客を集めて、堂々の初陣を飾った。

 さすがに緊張で顔がこわばった。幕が開き、武道館のど真ん中のステージで、立ち位置についたメンバーたちは、360度に広がるサイリュームに息をのんだ。それでも、ファンの声援に後押しされ、国内4つの48グループの末っ子たち(平均年齢15・1歳)が、今持てる力を発揮し始めた。

 結成1年半、3月20日にCDデビューしたばかりで、オリジナル曲はわずかしかない。セットリストは、AKB48ら先輩たちのヒット曲に加えて、乃木坂46の楽曲にまで及んだ。メドレーも含めて44曲。質より量ではないが、がむしゃらさとフレッシュさで勝負に挑んだ。「経験のない私たちが、武道館でやらせてもらえるなんて、ある意味、無謀。だからこそ何をしてでも成功させたかったんです」(指原莉乃=20)。

 結果、観客は大興奮だった。いつもは厳しい秋元康総合プロデューサーも「初めてにしては良かった。ダンスフォーメーションはまだバラバラだったけど、君たちはAKBが何年もかかった道を、すごいスピードで走っているのだから、仕方ない。ただ、次は自分の踊りだけじゃなく、仲間のケアもできるようになろう。今日は90点」と合格点をつけてくれた。

 終了後の舞台裏で、劇場デビュー7カ月の朝長美桜(14)は「緊張してたけど、皆さんのライトを眺めていたら、本当に幸せだって思えました」と言った。一方でキャプテン穴井千尋(17)は、悔し涙を流した。「もっと出来たはず。もっとすごいグループになってみせます!」。メンバーもファンも、HKT48には伸びしろしかないと信じている。未来のスーパーアイドルたちは今、羽化したばかりだ。【瀬津真也】