世界的人気のカナダ人歌手セリーヌ・ディオン(40)が吉永小百合(63)の新作映画「まぼろしの邪馬台国」(11月1日公開)の劇中歌を日本語で歌う。話すことのできない日本語にもかかわらず、歌詞の発音に違和感がなく聞こえる仕上がりは、言葉の意味よりも「音」を徹底的にマスターしたからだという。世界の歌姫の熱意に、小百合から直筆の礼状が送られた。

 セリーヌが歌うのは「A

 WORLD

 TO

 BELIEVE

 IN~ヒミコ・ファンタジア~」。原曲は昨年のアルバム収録曲で、今年2月に伊藤由奈(24)と同曲をデュエットし、日本国内で発売。そのメロディーをベースに、日本語の歌詞が書き下ろされた。

 映画のスケール感を高めようと、ディオンを起用した東映は「劇中で卑弥呼の細かい説明をほとんどしていません。歌で卑弥呼の生き方を表現してもらいたかったから、日本語歌詞が条件でした」と、日本語での歌唱を依頼した。

 意をくんだディオンは世界ツアー中の7月にレコーディング。日本人が歌うデモテープを聴き、耳で言葉の音を確かめる作業を繰り返した。小百合からプレゼントされた卑弥呼の衣装に袖を通すなど、あらゆる感覚を通して歌を完成させていった。仏語圏のカナダ・ケベック州で生まれ育ち、21歳の時、2カ月間英語を特訓し、完ぺきにマスター。今回も語学センスを発揮し、日本人が聴いても違和感なく日本語の歌詞を歌い上げている。

 このほど、地元カナダ・モントリオール公演後に取材に応じたディオンは「卑弥呼という日本文化の代表する物語の歌声に選ばれたのはとても光栄」と話した。映画について「もう大ヒットの予感を感じているわ」と自信満々だ。「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」を歌った「タイタニック」の興行収入18億3500万ドル(約1926億円7500万円)の記録は今も金字塔のまま。偉大な記録にあやかりたい製作側にはまさに神の声で、大ヒットの予感はまぼろしではないかもしれない。