「キューティーハニーいうたら、もっと巨乳で…」とこぼすと、ある関係者に「いやキューティーやなく、アンドロイドが主役の近未来SFで…」と返されて「テーマ、狭っ!」とかぶせてもた。ところが、実際そう思って見ると…B級臭の香ばしい1本です。

 人工知能とアンドロイドのジル(石田ニコル)が支配する世界は大気汚染対策としての高層化が進み、富裕層は上層階、貧困層は下層階に。父の如月博士(岩城滉一)の手でアンドロイドに生まれ変わった瞳(西内まりや)は、記者の早見(三浦貴大)や反体制グループの浦木(高岡奏輔)と打倒ジルに挑む。

 西内は失礼ながら胸が足らん。早見のセリフに「…胸が…」と出てくるほどね。演技も正直、達者やない。ところが、セリフが少なく、無機的なアンドロイドは妙にハマる。体に張り付くボディースーツがスタイリッシュで適度にエロい。同じく無機的な石田との格闘シーンも楽しめた。

 モヤに囲まれ、雨が降る屋台から始まる世界観は、ものの見事にブレードランナー。高層階の屋外はオブリビオンな感じ。キッチュさが、潔くて楽しい。【加藤裕一】

(このコラムの更新は毎週日曜日です)