肺炎のため89歳で亡くなった人間国宝の落語家、桂米朝さん(本名・中川清)の通夜が24日、大阪府吹田市桃山台5の3の10「千里会館」で行われた。3代目桂春団治(84)ら約1200人が参列した。

 長男桂米団治(56)は喪主あいさつで「今日は人間国宝が2人、臨席されています」と紹介。機転を利かせ、参列していた歌舞伎俳優坂田藤十郎(83)と人形浄瑠璃文楽の竹本住大夫(90)という人間国宝2人にマイクを渡し、異例の“国宝リレー”が実現した。藤十郎は一瞬驚いた表情を見せたが「歌舞伎しか知らなかった私が、米朝さんに会い、大きく視野が開けた。まだまだ向こうには行きませんが、待っててください」とあいさつした。

 続いて住大夫は「20代から30代、私、米朝はんとも苦労のどん底でした。しかし寂しいな」。戦後の上方芸能復興を目指し、ともに歩んだ“戦友”をしのんだ。

 この日の通夜と今日25日の告別式は4階建ての同会館ごと貸し切りで営まれた。25日午前11時からの告別式では出棺の際、三味線2丁で一門による生演奏の出ばやし「三下がり鞨鼓(さんさがりかっこ)」で送られる。通常なら別部屋での式へ配慮し、生演奏は見送られるところだが、貸し切りのため実現した。

 告別式の弔辞は既に上方落語協会会長の桂文枝(71)に決まっているが、事務所によると、3~4人で行うことも検討されており“弔辞リレー”も実現しそうだ。【村上久美子】

 ▼主な参列者 坂田藤十郎、扇千景、中村鴈治郎、竹本住大夫、桂春団治、笑福亭仁鶴、月亭八方、大村崑、西川きよし、田中康夫、桂きん枝、藤本統紀子、渋谷天外、河内家菊水丸、ハイヒール・リンゴ、ハイヒール・モモコ、酒井くにお、酒井とおる、森脇健児、山本浩之、立川談春、芝田山親方(敬称略、順不同)