故井上ひさし氏の代表作で1960年代に人気だったNHK人形劇「ひょっこりひょうたん島」が初めて舞台化されることが6日、分かった。「漂流劇 ひょっこりひょうたん島」で、12月に東京・渋谷のシアターコクーンで上演される。

 「ひょっこりひょうたん島」はミュージカル形式の人形劇で、64年から69年まで放送された。漂流する島に残されたサンデー先生、博士、プリンら子供たちが、政治家ドン・ガバチョ、元海賊トラヒゲ、ギャングのダンディらとドタバタ生活を送りながら、漂流先で出会う奇妙な事件と冒険を描いた。最高視聴率は37・5%の人気番組だった。

 初の舞台化となる今回はダンディを井上芳雄(35)、サンデー先生を安蘭けい(44)が演じる。歌唱力のある2人に加え、ガバチョに白石加代子(73)、トラヒゲに小松政夫(73)、博士に山下リオ(22)が決まった。脚本は宮沢章夫氏と山本健介氏。演出は串田和美氏が手掛け、音楽は故宇野誠一郎氏の名曲を軸に「ひょうたん島」ファンの宮川彬良氏が担当する。

 物語は、東京五輪を見学した海賊たちが島に攻め込んでくるという「海賊のキッドの宝の巻」を中心としたオリジナルとなる。串田氏は「ひょうたん島は、ひょっこり現れて、ひょっこり消えていったような気がする。それがみんなの心に残っている。再会するのが楽しみな、成長する記憶のような舞台を作ってみたい」と話す。東急文化村とこまつ座の共同制作。

 12月15日からシアターコクーンで上演、来年1月から大阪、松本などでも上演され、2月にコクーンで再上演する。

 ◆「ひょっこりひょうたん島」 放送作家だった井上氏と山元護久氏の脚本で平日夕に1224回放送。噴火で陸から離れたひょうたん島に残されたサンデー先生や博士ら個性的な登場人物が人気となり、「波をチャプチャプチャプチャプかきわけて」の歌詞で知られるテーマソング、風刺的な笑いも満載だった。声はガバチョを故藤村有弘さん、サンデー先生を楠トシエ、トラヒゲを熊倉一雄が担当した。