「ルパン三世」「るろうに剣心」と人気漫画原作の公演を成功させてきた宝塚歌劇団雪組トップ、早霧(さぎり)せいなが14日、愛知・中日劇場で、今度は名作映画を舞台化した「ローマの休日」の初日を迎えた。

 この後、東京、大阪と続く異例3都市ツアーのスタートを切った。

 ローマを舞台に、新聞記者ジョー・ブラッドレーと、アン王女のつかの間の恋を描いた不朽の名作が原作。オードリー・ヘプバーンと、グレゴリー・ペックによる映画は、世界的に知られるが、宝塚版では、主人公を新聞記者ジョーとし、早霧が主演。映画版より若い設定で「青年の成長物語」としても描かれている。

 「ベスパの場面、ジェラート、真実の口と、名場面として目にしたことはありましたが、映画としては見たことがなかったので、1度、けいこ前に見ました」

 普段、仕事で接する新聞記者を逆取材し、役作りしてきた。早霧といえば一昨年秋のトップ就任後、初作品だった「伯爵令嬢」から、昨年1月の本拠地お披露目「ルパン三世」、前作「るろうに剣心」と、人気漫画、アニメを原作にした舞台に主演してきた。

 著名作へのプレッシャーも慣れたものかと思えば「今回は違いました」と言い、難産だった。

 「ルパンも剣心も、ストーリーがたくさんあって、漫画、アニメ、映画もあるし、素材がひとつじゃないんですよね。でも、このローマの休日は、映画しかない。“あの”映画だけ。イメージが確立されすぎていて、つらかった」

 劇団屈指の芝居巧者も、オリジナル要素をどこまで入れ込むか、頭を悩ませてきた。それでも、迎えた初日。軽やかに、かつ、洒脱(しゃだつ)で、軽妙な「映画より若い新聞記者」の主人公像を作り上げ、熱演を見せていた。

 愛知・中日劇場は19日まで、東京・赤坂ACTシアターで同25日~7月10日、大阪・梅田芸術劇場で7月30日~8月15日まで。