女優兼アーティストの松下奈緒(31)が20日、大阪市内のホテルで、声優初挑戦となった映画「ドクター・ストレンジ」(27日公開)のキャンペーンを行った。

 映画は「アベンジャーズ」などで知られるマーベル・スタジオの新ヒーローを描く。松下は、元天才外科医で魔術に覚醒する主人公ストレンジ(ベネディクト・カンバーバッチ)の元恋人クリスティーン(レイチェル・マクアダムス)の吹き替えを担当した。

 ピアニストや女優としてマルチな才能を発揮する松下は、初の吹き替えを「お話をいただいた時は、また新しいことに挑戦できるとうれしくて…。でも、まさかこんなに大変とは思いませんでした」と振り返った。「当たり前ですが、他の女優が外国語で演じている役に、日本語を乗せることが難しくて。しかも、演じる相手がいない。“見えない相手”ですから。そのズレに慣れることがまず必要でした」という。

 通常の演技ではNGは少ない方というが、今回の仕事ではNGではないものの“一発OK”はなく、同じシーンの録音を何度も繰り返し、内容を高めていった。「そんなに長い場面でなくても、同じシーンを一日中やったこともありました」。録音は休みをはさみながら、約1カ月に及んだ。海外ドラマを見る際も、あえて吹き替え版を選んで、演者の口元を見るようにしたという。「ある時『もっと遠くに向かってしゃべってください』と言われて。大声を出すのではなく、遠くに声を飛ばす感じなんです。とにかく大変でしたが、今後(の演技)にプラスになることができた。声優は今後もどんどんチャレンジして、高い、低いとか、さまざまな自分の声を増やしていきたいです」と目を輝かせた。

 カンバーバッチ演じる主人公ストレンジについては「カンバーバッチさんは、私の中でシャーロック・ホームズの印象で出来上がっていたんですが、今回の役柄は違いますね。色っぽい。すごく自己中心的なのに、弱い部分もあって、守ってあげたいと思ってしまうような感じ。あと上品さがすごい。歩く姿1つとっても、他の人と全然違う」と感想を口にした。