2016年に国内興行収入トップ2を記録した日本映画、「君の名は。」と「シン・ゴジラ」。世界で大ヒットしたディズニー映画「ズートピア」(16)の興行収入を日本では上回る結果となった。海外でも公開されているこの2本の映画だが、海外の反応はどのようなものなのだろうか。

 どちらの映画も世界的に非常に良い評価を得ている。世界最大級の映画レビューサイト「Rotten Tomatoes」では「君の名は。」が97%、「シン・ゴジラ」が87%と高評価。日本の作品が海外でも認められていることを示している。しかし、気になるのは評価の詳細。エンタメ誌のレビュー記事などを読んでみると、海外(特にアメリカ)が日本の作品をどう見るのかがうかがえる。

 米エンタメ情報誌「The Hollywood Reporter」は、「君の名は。」のアニメーションの美しさを評価しつつ、“楽しめる斬新さがありながら、日本のアニメ界を率いた宮崎駿と細田守の魔法のように鋭い洞察力や深い人間性にはまだ及んでいない”と厳しめのレビュー。日本発のアニメーション作品がどうしても宮崎駿のジブリ作品などを基準に評価されてしまうことを示している。

 海外の日本映画に対する見方には、もう一つ特徴がある。米エンタメ・ファッション誌「GQ」は、「シン・ゴジラ」に“奇妙ですばらしい作品”と高評価を下した上で、“福島原発事故の重みを抱えている”と述べる。上の「The Hollywood Reporter」の「君の名は。」レビューも、“東日本大震災のトラウマをよみがえらせた”とコメント。海外は予想以上に、福島を意識して日本の作品を鑑賞するようだ。

 ジブリを基準としたアニメーション映画の評価、そして原発事故を意識した映画レビュー。2016年の邦画トップ2に対する海外の反応は、彼らが日本に対して抱いているイメージを反映しているのかもしれない。【ハリウッドニュース編集部】