明るく豪快で気遣いの人でもあった松方弘樹さん(享年74)の訃報が伝わった23日、俳優仲間たちも悲しんだ。若い頃から知る三田佳子(75)や十朱幸代(74)は思い出を振り返りながら悼んだ。

 三田は20歳の時、19歳の松方さん、18歳の北大路欣也らとハワイ、ブラジルを旅した。「松方君は、やんちゃ坊主で時々居なくなったりしたけど、芸能一家のボンボンだったから根は優しい子。1歳しか違わないけれど私を『姉貴』と呼んでくれ、芸能界の姉弟のような思いがあるんです」。

 いつも「姉貴」と言いながら駆け寄ってきた。「後半の役者人生をもっと楽しんで欲しかった。私よりも先に逝っちゃうなんて聞きたくなかった。すごいショックです」。

 共演も多い十朱は見舞いに行けなかったことを悔しがった。「お願いしたけれど『今は見舞いを控えているから』と会えなかった。本当に悔しい」。京都での仕事が多かった時、仕事、遊びで付き合った。「豪快な遊びをする方で一緒にゴルフもした。繊細なところもあって優しいから友達も多かった。お付き合いが長いけれど嫌な思いをしたことが1度もなかった。年齢も同じ。気持ちのいい友達でした」。

 撮影が終わると松方さんは「食事に行こうか」とみんなをよく誘った。「4、5人で行くのかと思ったら20人ぐらいも来て、全部ごちそうしてくれた。帰りには、明日の撮影が早いからと、全員にステーキサンドをお土産に持たせたり、細かいところにも気配りのできる人でした」。

 晩年は映画やドラマに出演する機会が減っていた。「松方さんのような大胆なお芝居をする方が少なくなった。おとこ気があって時代劇は天下一品。これから熟成して役者としてもっと頑張ってほしいと思っていたのに悔しいです」。