歌舞伎俳優市川海老蔵に重傷を負わせたとして傷害罪に問われた解体業伊藤リオン被告(27)の第2回公判が3日、東京地裁(板野俊哉裁判官)であり、検察側は「卑劣で悪質な犯行」として懲役2年を求刑した。弁護側が刑の執行猶予を求め結審。判決は14日。

 弁護側は、東京・西麻布の雑居ビルにある飲食店で海老蔵が知人の元暴走族リーダーに頭突きしたのが事件の発端と主張したが、検察側は論告で「故意の頭突きは推認できない」と否定した。

 論告によると、元暴走族リーダーに対し、海老蔵がしつこく酒を勧めたり、体を揺すったりした。伊藤被告は海老蔵の言動に怒りを爆発させて積極的に攻撃した、としている。

 弁護側は最終弁論で、伊藤被告の行為は元リーダーを守るための過剰防衛に当たると主張。被告は最終意見陳述で「地道に働いて、子どもに恥ずかしくない人生を送りたい。申し訳ありませんでした」と謝罪した。

 この日の公判の冒頭、伊藤被告は被告人質問に「今思えば、やりすぎてしまった。海老蔵に大けがをさせただけでなく、社会的、経済的にも迷惑を掛けた」と述べた。

 起訴状によると、伊藤被告は昨年11月25日午前5時すぎから同55分ごろ、飲食店で海老蔵の顔を拳で殴ったり、腹や腰を蹴ったりして約2カ月のけがを負わせた、としている。