歌手華原朋美(32)が所属事務所のプロダクション尾木から解雇されたことが29日、分かった。私生活の不安を解消するため睡眠薬など大量の薬物を摂取する依存症を克服できず、体調不良による仕事のキャンセルや奇行が相次いでいた。警察の厄介になるケースもあったという。恋人だった小室哲哉(48)のプロデュースで歌手として一時代を築いたが、今回の解雇で事実上の引退となりそうだ。

 プロダクション尾木の尾木徹社長はこの日「本当に残念でたまらない。断腸の思いです」と華原の解雇について語った。華原とは6月中旬から連絡が取れなくなったという。無断で仕事を休むようになり、深夜に都内で酩酊(めいてい)状態で倒れ、病院に担ぎ込まれる騒動が連日続いた。今後の仕事について話し合える状態になく、解雇については都内の自宅マンションに文書で送付するしかなかった。この日も華原から連絡はなかった。

 薬物依存を断ち切ることができなかった。恋人だった小室との関係がこじれていた99年、ガス中毒で入院する騒動を起こした。休養後、破局した小室のもとを離れて同プロに移籍した。しかし、関係者によると、私生活の不安などを大量の薬物摂取によって解消する依存症は深刻な状態だったという。華原が仕事に対する意欲も強かったことから、同プロは薬物に頼らない指導を粘り強く続け、「仕事が最高の良薬」として、音楽活動に加え、女優業にも進出させた。華原も周囲の期待に応え、ミュージカル女優として成長する夢を膨らませていた。

 ところが昨年12月、主演舞台「ガールフレンズ」を急性気管支炎と急性声帯炎のため、公演期間中に降板した。公演はダブルキャストのため、代役で乗り切ったが、薬物依存症が再び顔をのぞかせていた。関係者によると、睡眠薬や精神安定剤、鎮痛剤、風邪薬などを大量に摂取して体調を崩していたという。

 今年4月末まで休養し、健康の回復もあって、5月12日に伊勢神宮で行ったイベントから復帰。報道陣には「もう大丈夫です」と話していた。当日は同プロと契約についてあらためて話し合い、誓約書も交わし、その後、レギュラー番組のフジテレビ系「新堂本兄弟」の収録にも参加した。

 ところが今月19日、同番組のリハーサルのドタキャンを皮切りに、ラジオ番組など無断キャンセルが相次いだ。同プロは代役の調整などに追われながら華原の連絡を待ったが、深夜に病院や警察から連絡を受けてようやく接触するという異常な状態が続いていた。

 同プロは今後の芸能活動を支えることが不可能と判断し、28日に専属契約を解除した。スタッフは単独公演やイベント出演など年内に予定していた仕事のキャンセルで各方面との対応に追われている。

 華原は売れっ子プロデューサーだった小室に見いだされ、無名アイドルから一躍人気歌手となり、ミリオンヒットを連発した。一時代を築いたシンデレラガールは復帰と休業を繰り返し、周囲を困惑させたまま、芸能界から消えていくことになる。【07年6月30日付、日刊スポーツより】