合成麻薬MDMAを使用したとして麻薬取締法違反容疑で逮捕された俳優押尾学容疑者(31)が遺体で発見された31歳の女性に勧められ一緒に錠剤を飲んだと供述していることが5日、分かった。現場となった東京・六本木ヒルズのマンションの部屋は服飾通販会社の女性社長が賃貸契約しており、押尾容疑者は「社長から『部屋を自由に使っていい』と言われていた」とも供述。警視庁麻布署は同日、押尾容疑者を送検した。

 押尾容疑者はこの日、東京地検に身柄を送検された。午前8時には拘置されている三田署前に報道陣が100人にまで膨らみ、警察官が規制を始めた。午前9時に押尾容疑者を後部座席に乗せたシルバーのワゴン車が三田署を出発すると、報道陣が殺到したが、窓ガラスは厳重にカーテンで遮られ、押尾容疑者の姿は見えなかった。

 押尾容疑者はこれまでの取り調べに「違法な薬物とは思わなかった」と容疑を否認している。さらにこの日までに「2日に死亡した女性と一緒に、自分が1錠、女性が2錠、錠剤を飲んだ」と供述していたことが分かった。錠剤は女性に勧められ、「違法なものではない」と渡されたという。女性が2錠目を飲んだ直後に異変をきたしたため、心臓マッサージを試みたが「ダメだった」という。

 その後、所属事務所のマネジャーを呼び、自分は立ち去り同マンション内の別の部屋にいた。マネジャーの通報で救急隊が駆けつけた時には、女性は全裸であおむけになり亡くなっていた。司法解剖の結果、目立った外傷はなく、明確な死因は分からなかった。麻布署は病理検査を進め、薬物と死亡の因果関係を調べている。2人の服用目的も捜査中だが、エクスタシーと呼ばれるMDMAはセックスの際に快感を高めるために服用される例が多い。

 東京地裁は14日までの10日間の拘置を認める決定をした。押尾容疑者は逮捕前に見られた手の震えもなくなり、落ち着いた様子で取り調べにも応じているという。午後3時ごろ、東京地検から出てきた押尾容疑者は頭から黒っぽい上着をすっぽりかぶり、下を向いたまま車に乗り込んだ。

 また、女性が遺体で見つかった六本木ヒルズのマンションの部屋は服飾通販会社の女性社長が賃貸契約しており、押尾容疑者は「社長は知人で、『部屋を自由に使っていい』と言われていた」と供述しているという。麻布署はその経緯についても関係者から事情を聴いている。女性が亡くなった部屋のほかに、押尾容疑者が「自由に使っていい」とされる部屋が複数あった。芸能界にも広い人脈のある女性社長は人気ブログを開設しており、押尾容疑者との交流もつづられていたが、現在は削除されている。

 [2009年8月6日8時51分

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