テレビ朝日系で放送された19日のW杯日本-オランダ戦の平均視聴率が、関東地区で43・0%(関西地区で43・5%)を記録したことが21日、ビデオリサーチの調べで分かった。瞬間最高は試合終了のホイッスルが鳴った瞬間で、午後10時19分の55・4%だった。ゴールデンタイムの午後8時30分キックオフだったが、当日はNHKBS1でも生中継され視聴者が同局にも流れた模様だ。1勝1敗で迎える24日(日本時間25日未明)の運命のデンマーク戦は日本テレビが中継する。

 14日夜にNHKで放送された初戦カメルーン戦の平均視聴率45・2%にはわずか及ばなかった。それでも、瞬間最高視聴率に限ればカメルーン戦での試合終了直前に記録した49・1%を6・3 ポイント 上回る55・4%の高い数字をたたき出した。0-1で惜敗したオランダ戦だったが、試合終了直後に記録した瞬間最高視聴率は、多くの国民が最後まで日本の得点を信じてテレビの前にかじりついたことを示すものだった。

 同局が放送日にちなんで目標に掲げた視聴率は61・9%だった。土曜日の午後8時半キックオフというゴールデンタイムに加え、初戦の白星発進という追い風が吹いたことで期待は高かった。当日は早朝からW杯モードの特別編成を組んで本番に臨んだが、予想に反して数字は伸び悩んだ。

 同局の早河洋社長(66)は「目標視聴率には届きませんでしたが、世界4位の強豪オランダに対し白熱した好ゲームを展開してくれました。今回の歴史的1戦を全社一体で中継、視聴者のみなさまとともに応援できたことを誇りに思っています」とコメントした。

 テレビ朝日の視聴率が伸び悩んだ要因としては、同時間帯にNHKBS1でも生中継していたことが挙げられる。衛星放送の視聴率は通常公表されないが、関係者によると6・3%という高い数字を記録したという。一般的に衛星放送は2~3%で高視聴率とされており、今回の数字は異例の注目度だったといえる。

 NHKBSに視聴者が流れる伏線もあった。17日の同局総合でW杯放送中に女性アナウンサーが「(NHKは)コマーシャルがありませんから」と発言。19日のオランダ戦を同局BSで視聴することをPRした。W杯放送権はNHKと民放連が共同で国際サッカー連盟から購入しており、民放連は「配慮に欠ける発言」としてNHKに抗議、同局が謝罪する事態にもなった。皮肉にもNHKアナウンサーの発言が多くの視聴者の胸に響く結果になった。

 [2010年6月22日8時24分

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