合成麻薬MDMAを一緒に服用した女性を救命しなかったとして、保護責任者遺棄致死罪などに問われた俳優押尾学被告(32)の裁判員裁判の第2回公判が6日、東京地裁で開かれた。この日は検察側証人6人が出廷。押尾被告が事件現場に駆け付けた元現場マネジャーに対し、自分の罪をかぶらせる3つのプランを提示するなど、自己保身に走った身勝手な行動が証言で明らかになった。また、元交際相手が押尾被告から「愛が深まる」などとして、性行為前に薬物を勧められたと証言した。第3回公判は7日に行われる。

 検察側証人として女性3人、男性3人が出廷。約6時間半にわたって尋問が行われた。押尾被告の元チーフマネジャーA氏(法廷では実名)と元現場マネジャーB氏が出廷。同被告の保身としか思えない行動の詳細が初めて明らかになった。

 A氏は事件が起きた09年8月2日午後8時半ごろ、押尾被告からの電話で東京・六本木ヒルズのマンションに駆け付けた。A氏は同被告に田中香織さん(享年30)が亡くなった経緯を確認すると同時に、「なぜ救急車を呼ばない」と質問したという。「押尾は『ダメだ。呼んでしまうと自分が薬を使っていることが分かってしまう。仕事ができなくなるし、子供にも会えなくなる』と言いました」。検察官から「救急車を何度呼ぼうと言いましたか」と質問されると、A氏は「延べ5回ぐらいです。最終的には押尾の友人が来て呼びました」と証言した。

 さらにA氏は検察官から「被告から何か提案がありましたか」と聞かれると、「B氏に罪を着せようとする提案がありました」。同被告から次々と提示されたB氏へのぬれぎぬプラン内容を詳細に証言した。

 A氏

 (同被告から)B氏が知人女性を連れ込み、セックスした後、女性が亡くなったという提案を受けました。体内を調べたら押尾の体液が出る。ウソは通らないと言うと、別の提案を受けました。押尾がその女性を呼んでセックスした後、仕事で先に出てしまい、B氏に様子を見に行かせたところ、死んでいたというシナリオはどうかと。防犯カメラがあるから意味がないと言うと、しばらく考え込んで、「ダメだ、ダメだ。(別の)Bプランを考えてくれ」という提案を受けました。

 その後、押尾被告は田中さんの携帯電話を見つけ、「この携帯はまずい」と漏らしたという。

 続いてB氏が証言台に立った。

 B氏

 押尾さんは今まで見たことのないような、懇願する目で「お前の面倒は一生見るから、第1発見者として名乗り出てくれ」と言われました。それは、今後の芸能活動が困難になるのを何とかしたかったんだと思う。数日前に受けた大きなオーディションの結果を気にしてましたから。

 その後、同被告は身の回りのものをカバンに詰め、その後駆け付けた知人らとA氏を連れて、同マンションの別の部屋へ移動したという。B氏は「(同被告から)『うまく説明しておいてくれ』と言われました」と証言した。

 B氏は救急車を呼ばなかった理由を聞かれると「私は(通報)してないです。本人への情が勝っていた。通報すると芸能生活をあきらめることになるので、提案できませんでした」。罪とはいえ、マネジャーとしての苦悩も吐露した。

 同被告をかばい続けたB氏だが、裁判員から「今、押尾被告に言いたいことは」と問われると「特にないです」。A、B両氏とも最後まで、同被告と目を合わせることはなかった。

 [2010年9月7日9時7分

 紙面から]ソーシャルブックマーク