俳優反町隆史(39)と女優松嶋菜々子(39)夫妻の飼い犬(ドーベルマン)にかまれて負傷した同じマンションの住人が退去したとして、不動産会社が賠償を求めた訴訟の控訴審判決で10日、東京高裁が1審の賠償命令額385万円を大幅に増やし、1725万円の支払いを同夫妻に命じた。1審判決で認められなかった小動物以外の飼育を禁じたマンション規定に反町夫妻が違反していた責任も認めた形。それが、賠償額の大幅増につながった。

 反町、松嶋夫妻への支払い命令が1340万円も増額した。高世三郎裁判長は「小動物以外の飼育を禁じているマンションの規定を破り、住民の安全を守る注意義務に違反した」と指摘。退去後に次の入居者が決まるまでの17カ月のうち、9カ月分の賃料と弁護士費用について賠償する責任があると認めた。

 判決によると、2011年(平23)5月、反町夫妻が入居していた東京・渋谷区のマンションの通路で、夫妻の娘(当時6)が連れていたペットのドーベルマンが住人の女性の脚にかみついた。女性側は「住み続けられない」と退去を希望。管理会社は賃貸契約を解約。その後、反町と女性との間では示談が成立したが、管理会社側は「住人が退去したため賃料収入を失った」として、反町夫妻に約5220万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴していた。

 同地裁も反町夫妻の責任を認め、今年5月14日の1審判決で385万円の支払いを命じた。管理会社側が、退去した女性側に月175万円の賃料の2カ月分に当たる違約金を請求しなかった点についても、「本来、女性側に生じたはずの損害を管理会社が肩代わりしたといえる」と指摘。反町夫妻に違約金と弁護士費用を支払う義務があるとした。一方で管理会社が定めていた小動物以外の飼育を禁じた規定違反は認めなかったが、控訴審では認められた。

 判決を受けて、反町夫妻のコメントはなく、反町の所属事務所は「裁判のことは全て本人に任せておりますので、具体的なコメントは差し控えさせていただきます」との姿勢を示した。