<連載「気になリスト」(57)>

 三遊亭好楽門下の三遊亭こうもり(30)が9月1日に二つ目に昇進する。11年8月の入門から3年かかっての昇進。「厳しかった。落語界のルールを覚えるのが大変で最初の3カ月は何度もやめようと思った。一生懸命精進して若い世代にも落語を知ってもらえるように頑張ります」。

 かつて末高斗夢の名前で芸人として活動。05年に日本テレビ系ドラマ「野ブタ。をプロデュース」に出演した。同局系「ラジかるッ」では「おたま」と「げた」を取り出して「おったまげた!」などダジャレネタを披露。速水もこみちとCM共演もした。しかし勢いは続かず、突然、落語家に転身した。

 後押ししたのは春風亭小朝だった。「落語をやりたくなったら言いなさい」と言われ、仕事が減り始めた10年に「落語を教えてください」と頼み込んだ。教えてもらったのは桂米朝作の人情噺(ばなし)「一文笛」。芸人仲間の会で披露した際のDVDを見せに行くと「これから、どうしたい」と聞かれ「続けたい」と答えると「じゃ、入門しちゃいなさい」と誘われた。「仕事が減ってずっと危機感があった。被災地に慰問に行っても大すべりで、逆に『頑張れよ』って励まされてる始末でした」。

 11年夏に入門を決意。小朝に頼みに行くと紹介してくれたのが好楽だった。「師匠の誕生日8月6日に入門。9月には寄席に入ってました。うちの師匠は信じられないくらい優しいんです」。師匠は「高座の上ではどんな形でもいい。誰かに何か言われたら『師匠にこれでいいと言われている』と言え」と言った。

 前座で慣れない修業の日々もウエンツ瑛士や宮迫博之の「頑張れ、向いてる、やめるな」という励ましに支えられた。現在、噺は古典が30席。今後については「先代の林家三平師匠みたいなテレビでも売れっ子の人気者になりたい。『こうもり落語』を作れれば」という。【小谷野俊哉】

 ◆三遊亭(さんゆうてい)こうもり

 1983年(昭58)12月31日、東京都生まれ。99年2月に末高斗夢(すえたか・とむ)の芸名でデビュー。00年「ミスター・ヤングマガジン」グランプリ。02年に一芸入試で亜大に入学したが中退。166センチ。血液型O。