米大統領選ががぜん緊迫してきた。女性問題と3回のテレビ討論で共和党のドナルド・トランプ氏(70)が失速し、民主党のヒラリー・クリントン氏(69)が安全圏の12ポイント差までリードを広げていたが、10月28日にFBIが私用メール問題の捜査再開を発表。一部世論調査ではトランプ氏が初めて逆転した。

 全米50州と首都ワシントンに割り振られた538人の選挙人獲得数を争う大統領選は過半数の270人を確保すれば当選する。2回目のテレビ討論が終わった10月中旬はクリントン氏が、260人を確保する勢いで、トランプ氏の165人を圧倒。過半数まで10人に迫っていた。

 ところが、よもやのFBIの捜査再開発表。きっかけがクリントン氏の側近フーマ・アベディン氏の別居中の夫のパソコンに保存されていたメールだったことから、トランプ氏は「ありがとうフーマ、よくやった」と歓喜。猛追し、差は一気に縮まり、ワシントン・ポスト紙とABCテレビの世論調査では10月23日にはクリントン氏50%、トランプ氏38%だったのが、同30日にはトランプ氏46%、クリントン氏45%。初めてトランプ氏がリードした。

 政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」の獲得予測選挙人数も2日、クリントン氏226人、トランプ氏180人となり予断を許さない状況だ。

 ◆ヒラリー・クリントン 1947年10月26日、シカゴ生まれ。名門女子大のウェルズリー大を首席で卒業し、エール大法科大学院修了。弁護士、ファーストレディー、上院議員、国務長官。スローガンは「ストロンガー・トゥギャザー(一緒なら強くなれる)」。

 ◆ドナルド・トランプ 1946年6月14日、ニューヨーク生まれ。ペンシルベニア大卒。破産4回の不動産王。公職の経験はない。総資産約37億ドル(約3885億円)。選挙スローガンは「メーク・アメリカ・グレート・アゲイン(米国を再び偉大に)」。