東京都の小池百合子知事は25日、就任後初めて手がける17年度都予算案の概要を発表した。一般会計総額は5年ぶりのマイナスだが、新規事業数は過去最高。メリハリをつけた「百合子色」を反映させ、「We’ll make TOKYO great again」と、トランプ米大統領を意識した言葉まで飛び出した。一方、都議会自民党で、豊洲市場問題の真相解明へ、都議会に百条委員会設置を求める動きが浮上。「反ドン派」の決起ともいわれ、今後が注目される。

 小池氏は「予算はただ、お金をつければいいものではない。メリハリのついた予算になった」と自己評価。一般会計総額は6兆9540億円で5年ぶりのマイナスだが、見直し作業で720億円分を確保。「無駄は徹底的に排除し、必要なものには積極的に財源を配分した」と、説明した。

 新規事業数は過去最高の382件、829億円。肝いりのLED電球導入促進やテレワーク推進から、江戸東京野菜生産流通拡大事業まで「百合子色」満載。重視する待機児童解消は、前年度比403億円増の1381億円になった。若手職員が考案した「メリーちゃん」「ハリーくん」のイラストでメリハリを強調。「都民ファーストに資するような予算」と述べた。

 東京の国際金融都市実現に向けた取り組みでは、「We will make Tokyo great again。誰かの言葉ではありませんが、東京をもう1度、アジアのハブへ引き上げる」。トランプ・ワードまで使い、「百合子予算」をアピールした。

 予算案は来月の都議会で審議される。自民は「必要な提言と質問を行う」としたが、小池氏と連携を強める公明や民進は「高く評価」とする談話を発表した。

 その自民では、新たな「離反」の動きが浮上した。立石晴康、舟坂誓生両都議が、自民会派内でのグループ設立、豊洲問題の真相解明へ、強い権限を持つ百条委設置を求めて署名活動を行うと表明。共産などが設置を求める中、自民内の動きは初めて。実現すれば石原慎太郎元知事や側近の浜渦武生氏、安全宣言を出した舛添要一前知事の出席を求める意向だが、石原&舛添都政を支えた「ドン」内田茂氏ら主流派の責任問題に発展するのは確実だ。

 特に立石氏は、出馬を目指す7月の都議選で地元に別の公認候補を立てられ、内田氏とは溝が深い。2人は、離党や小池氏との連携は否定したが、都議選を前に自民党内の混乱は当面続きそうだ。【中山知子】