立憲民主党の田島麻衣子参院議員が12日、参院外交防衛委員会で、4月29日に政府主催で行われた昭和100年記念式典で、天皇皇后両陛下が出席だけで天皇陛下のお言葉がなかったことについて繰り返し質問した。
しかし、内閣府昭和100年記念式典準備室長は、5回に渡って「総合的に勘案」「今回は臨席のみをお願いすることとした」との答弁を繰り返した。
田島氏が取り上げた昭和100年記念式典は政府主催で開催され、天皇皇后両陛下が出席。高市早苗首相が「昭和は戦争、終戦、復興、高度経済成長といった、未曽有の変革を経験した時代でした」などとあいさつしたが、出席している天皇陛下のお言葉はなかった。宮内庁は翌4月30日になって、「過去の歴史から謙虚に学び、深い反省とともに平和を守るために必要なことを考え、将来へとつなげる努力を伝えることが大切との思いで式典に臨まれた」との天皇皇后両陛下の感想を公表した。宮内庁の黒田武一郎長官は「政府の考え方に基づいた」と説明していた。
1968年(昭43)10月の明治100年記念式典では、昭和天皇と香淳皇后が出席し、昭和天皇がお言葉を語っていた。
田島氏は「記念式典委員長というのは内閣総理大臣であると理解をしております。天皇皇后両陛下は中央に座っていらっしゃったと思うが、お言葉がなかったことについて、国民の皆さん、なんでだろうという声が非常に多い。政府の方に伺いたい。式典で天皇陛下によるお言葉はなかった理由をうかがいたい」と質問した。
これに対し、内閣官房の昭和100年記念式典準備室長が「政府としては、今晩の式典の趣旨目的や過去の政府主催式典でのご臨席などの状況などを総合的に勘案し、ご臨席のみをお願いすることとしたものであります」と、具体的な理由の言及は避けた。
田島氏は再び、「『総合的』ということですけど、政府の意向という理解で正しいか」と問うた。しかし、準備室長は「政府主催の式典でございまして、政府として今般の式典の趣旨目的や、過去の政府主催式典でのご臨席などの状況などを総合的に観案し、ご臨席のみをお願いすることとしたものであります」と、ほぼ同じ答弁を繰り返した。
ほぼ同じではあっても。「政府として」との行為主体について否定しなかった答弁を受け、田島氏は具体例を挙げ「政府の意向というのは、例えば明治100年記念式典というのが昭和43年、1968年に開かれてますけれど、この時にはですね。天皇陛下のお言葉というのはあったんですよね。この政府の立場と矛盾することはないでしょうか」と、政府の意向に変化があったのかを問うた。
準備室長は「繰り返しになりますけれども」と前置きしつつも「政府としましては、今般の式典の趣旨目的や過去の政府主催式典でのご臨席などの状況など、総合的に勘案し、今回の式典につきましては、ご臨席のみをお願いすることとしたものであります」とほぼ同じ答弁を3回繰り返した。その上で「天皇皇后両陛下がご臨席されるすべての式典において、お言葉を承っているわけではないと承知しております」とも付け加えた。
3度続いたほぼゼロ回答の答弁に、委員会室からは質問に答弁していないとの声も上がった。
田島氏も「はい、あの、こちらの方からも答えてないっていう声が上がっていますが、しっかりとお答えいただきたいと思います」と要請。その上で「明治100年記念式典でお言葉があり、今回の昭和100年記念式典でお言葉がない、このあの区別、差というのはどのように説明されますか」と質問した。
しかし、これに対しても準備室長は「あの繰り返しになりますけれども、これまで天皇皇后両陛下がご輪席される。すべての式典において、お言葉を受け承っているわけではないと承知しております。今般の式典におきましては、今般の式典の趣旨目的過去の例などを踏まえまして、ご臨席のみをお願いすることとしたものであります」と、4度目も同様の答弁だった。
田島氏は「先ほど総合的にあの判断するとおっしゃいましたが、執行委員会としてなぜお言葉というものをお願いされなかったんでしょうか」とさらに質問した。しかし、準備室長は「あの繰り返しになって大変恐縮ではございますけれども、まあ、あの今般の式典の趣旨目的、そして過去の例など、総合的に関案し、今回はご臨席のみをお願いすることとしたものであります」と、同様のほぼゼロ回答が5回目に突入した。
田島氏は「はい。具体的な点については一切答えられないということなんですよね」と、準備室長が同じ答弁を繰り返したことについて“解説”「残念だと思いますし、その後ですね。天皇皇后両陛下は宮内庁の発表ですが、『過去の歴史から謙虚に学び、深い反省とともに平和を守るために必要なことを考え、将来へつなげる努力を続けることが大切』との思いで、式典に臨まれたと明らかにしたということが報道に出ています」と、宮内庁が翌日に出した両陛下の思いに言及。「私は非常に、こうしたお考え、極めて重要な意義を持つものであるというふうに感じました」とし、政府がお言葉なしとした今回の対応について「あの非常に残念です」と指摘した。
高市首相は式典で「今こそ、激動の昭和を生き、先の大戦や幾多の災害を乗り越え、『希望』を紡ぎ出した先人たちに学び、私たちも果敢に挑戦していく必要があるのではないでしょうか」「挑戦しない国に未来はありません。守るだけの政治に『希望』は生まれません」などとあいさつ。「反省」の言葉はなかった。

