稲田朋美防衛相が14日の衆院予算委員会集中審議で、南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の日報をめぐる問題で民進党の辻元清美議員に追い詰められ、見かねた安倍晋三首相が代わりに答弁に登板する場面が相次いだ。

 稲田氏は、これまでにもたびたび追及を受けている辻元氏から、「日報(の公開)を隠蔽(いんぺい)したのではないか」と指摘された。また、日報の中身をめぐり、今月8日の同委員会で、海外での武力行使を禁じた憲法9条を念頭に「(戦闘行為が)行われたとすれば9条の問題になり、武力衝突という言葉を使っている」と答弁したことを受け、「憲法9条に抵触しても、言葉を置き換えて合憲にするととられかねない発言だ」と批判された。

 これに対し、稲田氏は、隠蔽(いんぺい)などの事実はないと否定したが、「(戦闘が行われたとする)7月の衝突事案を問題にしているが、当時、私は大臣ではなかった」と、まさかの責任回避発言。辻元氏は「大臣失格だ。そんな大臣みたことない」と、さらにかみついた。

 その上で、ISIL(イスラム国)をめぐるシリアの内戦を「戦闘か衝突か」と突っ込まれた稲田氏は、「今は法的な評価をしていない」と答弁。辻元氏が「歴代の大臣は答弁している」とさらに突っ込んだが、同様の答弁が繰り返され、行き詰まった。

 ここで、首相が「私は自衛隊の最高指揮官ですから」と述べて答弁に立ち、「ISILに対する軍事作戦の後方支援は考えていないので、(法的評価の)検討を行っていないということ」と主張し、席に戻った。この後も、稲田氏は辻元氏に押され気味で、首相は再び登板。「後方支援はしない。憲法との関係でやることを検討しないから、検討はしない」と訴えた。

 辻元氏は「私は防衛大臣に質問しているが、総理が出てくる。世界中に、情けないと思われる。総理が心もとないから、答弁に出てきているのではないか。そうではないなら出るのをお控えいただきたい」と、チクリ。「大臣は蚊帳の外だったのではないか」とも指摘した。

 稲田氏は、首相の「秘蔵っ子」といわれ、昨年8月の内閣改造で防衛相に抜てきされた。